自社開発のコスメブランドを、仲介業者を介さず自社ECサイトで顧客に直接販売するD2Cを展開する際、同業他社の成功事例を参考にしたい方も多いのではないでしょうか。
D2Cビジネスモデルは、型にとらわれない自由度の高いマーケティングが可能なため、ブランドによって多種多様な施策で成功をおさめています。
この記事では、D2Cコスメブランドの成功事例17選と、ECサイトを成功させる秘訣をご紹介します。
この記事でわかること
・D2Cコスメブランドの成功事例
・D2Cコスメブランドの認知拡大に効果的な施策
・D2Cコスメブランドに効果的なブランディング戦略
こんな方におすすめ
・同業他社のコスメECのマーケティングを参考にしたい
・コスメECの競合他社と差別化を図る方法を知りたい
・コスメECで顧客一人ひとりに最適な施策を打ちたい
コスメECを成功させるポイントやEC戦略については、こちらの記事で詳しく解説しています。
・ECサイトで重要な戦略とは? 売上アップのコツと成功事例を紹介
・化粧品・コスメECとは?成功させるポイントとランキングを紹介
1. D2Cコスメブランドの成功事例17選
1-1. BOTANIST(ボタニスト)
シャンプー・スキンケア・ボディソープなどを販売するBOTANISTは、2015年に誕生して以来、6年弱で累計販売個数1億個を突破したD2Cコスメブランドです。
ローンチ当初は珍しい洗練されたデザインのパッケージで注目を集め、少し高めの価格帯と確かな製品価値を軸としたブランディング戦略を一貫して行っています。
InstagramをはじめとするSNSでのマーケティングに力を入れており、アート・ファッションのトレンドに敏感なターゲットを狙ったクリエイティブなコンテンツを定期的に配信中です。
徹底したブランディングを行いながら、ユーザーによる評価・レビュー・口コミなどのUGCを増やし、自然と認知拡大が進む取り組みに成功しています。
1-2. PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)
DINETTE株式会社が2019年にローンチした「PHOEBE BEAUTY UP」は、若年層を中心に熱烈な支持を集めるD2Cコスメブランドです。
DINETTEは、美容特化型の動画メディアを展開しており、そのユーザーの声を徹底的に反映して誕生したのがPHOEBE BEAUTY UPです。
商品の開発過程から積極的にユーザーの声を取り入れており、その世界観やストーリーがファンを生み出しています。
ブランド第一弾の「まつげ美容液」は、原価度外視で開発されていると話題になり、多くの支持を集めて大ヒット商品となりました。その後の「フェイスマスク」や「毛穴美容液」などを続々とローンチし、ブランド立ち上げからわずか2年で年商15億円まで成長した成功事例です。
1-3. MEDULA(メデュラ)
「MEDULA」は、日本初のパーソナライズシャンプーをコンセプトにした商品を提供するD2Cコスメブランドです。
ECサイトにある「ONLINE髪質診断」は、10問の質問に回答するだけで、3万通りの組み合わせからユーザーに最適な商品が届く特徴的なサービスとなっています。
さらに、注文した商品に関するアドバイスや情報を美容師からもらうことができ、商品購入後のアフターケアが顧客満足度に繋がっています。
「美容院を訪れたかのようなサービスを受けられる」として人気を集め、2021年にはECサイトの会員が30万人を超えるほど成長した成功事例です。
1-4. ORBIS(オルビス)
化粧品をはじめ、栄養補助食品、ボディウェアなどを提供する「ORBIS」は、2018年のリブランディングで成功をおさめたD2Cコスメブランドです。
女性から支持を集めている初期エイジングケアシリーズ「オルビスユー」は、わずか1年で累計販売個数460万個を突破した人気商品となっています。
ECサイトでは、パーソナルカラー診断・セルフスキンケアチェック・ベースメイクチェックなどの無料診断を提供しており、オンラインカウンセリングを通じて気になった商品をそのまま購入できる特別な体験も提供しています。
ブランドと顧客との間に信頼関係を築くため、接客や聞き取り調査を徹底した結果、日本最大級の顧客満足度調査で第1位を5年連続獲得した実績もあるD2Cコスメブランドです。
1-5. RICAFROSH(リカフロッシュ)
「RICAFROSH」は、D2Cブランドの立ち上げを支援する「Direct Tech」と、ファッションモデルの古川優香さんのプロデュースで誕生したD2Cコスメブランドです。
古川優香さんの『ティントだけど、残りすぎない』というこだわりが反映されたリップの「ジューシーリブティント」は、RICAFROSHの代名詞です。
RICAFROSHでは、ブランドと顧客との繋がりを大切にしており、10代・20代の女性に影響力を持つ古川優香さんが情報発信を行うことで、コアなファンの囲い込みに成功しています。
さらに古川優香さんの友人・知人100名に商品を体験してもらい、商品の使用感や感想をSNSを中心に発信し、ブランドの認知拡大に繋げています。
1-6. MANARA(マナラ)
「MANARA」は、たった100名の従業員で年商100億円を達成したD2Cコスメブランドです。
看板商品の「ホットクレンジングゲル」は、2006年にリリースしてから累計販売本数2,000万本を超え、同カテゴリー内で絶大な人気があります。
ECサイトには、ホットクレンジングゲルの開発秘話が掲載されており、ブランドの特別な価値に共感する新規顧客の獲得・リピーター獲得・ファン化に繋げています。
期間限定・数量限定などの顧客満足度を高めるキャンペーンも豊富で、顧客一人ひとりと向き合った美容相談室でアフターケアにも注力しているブランドです。
1-7. DUO(デュオ)
プレミアアンチエイジング株式会社が提供するコスメブランドの「DUO」は、「ザ クレンジングパーム」を主力としたスキンケア商品で多くのファンを獲得しています。
肌に悩みを持った顧客に向けて、「落とすチカラ」というコンセプトのブランディング戦略を一貫しており、同社の2大ブランドの「DUO」と「CANADEL」のシリーズ出荷数は、合計4,500万個を突破しました。
Instagram広告の運用に加えて、多くの固定ファンを持つインスタグラマーを起用したインフルエンサーマーケティングにより、顧客の囲い込みに成功しています。
また、Facebook広告やGoogle広告、その他アドネットワークを上手に活用し、認知拡大に繋げている成功事例です。
1-8. N Organic(エヌオーガニック)
「N Organic」は、株式会社シロクから2017年に誕生した国産オーガニックコスメブランドです。
2021年に100万人を超える会員数を誇るECサイトを、ユーザーの声を反映してリニューアルしました。
20代〜40代の女性をメインターゲットとして、SNSでの口コミ・評価・レビューなどをプロモーションや商品開発に活かしたマーケティングで、多くのフォロワーやECサイトの新規顧客を獲得しています。
リニューアル後に販売した「モイスチュア&バランシングローション・セラム」は、@cosmeのベストコスメアワードで2冠を受賞した実績もあり、多くの顧客に支持されているD2Cコスメブランドの成功事例です。
1-9. SHIRO(シロ)
株式会社シロが提供する「SHIRO」は、北海道由来の素材を活かしたスキンケア商品や、ファブリック製品を販売するD2Cコスメブランドです。
フォロワー40万人を超えるInstagramアカウントでは、スタッフが視聴者の悩みを解決するスキン相談会やおすすめの商品の解説をライブ配信で行い、顧客との相互コミュニケーションを図っています。
コロナ禍によるニーズの変化によって、フレグランス系の商品が好調な売れ行きを見せており、日本だけではなく、アメリカ・イギリス・台湾での越境ECの展開で現在もワールドワイドに成長し続けているブランドです。
1-10. 北の快適工房
北の快適工房は、「ビックリするほど良い商品ができた時しか発売しない」をコンセプトに掲げた、健康食品・化粧品を主に取り扱うD2Cブランドです。
顧客満足度を第一としたブランディングを徹底しており、商品を実際に使用した時、「良い変化を感じるか」を検証するモニター調査に力を入れています。さらに、独自に設けた750個の開発基準を満たした品質チェックで、コンセプトに合った商品のみを展開しています。
2020年には、マイクロニードル化粧品の市場売上シェアで世界1位を獲得し、ギネス世界記録に登録された実績もあるD2Cコスメブランドの成功事例です。
1-11. Glossier(グロッシアー)
NY発の「Glossier」は、顧客との双方向コミュニケーションを常に大事にし、顧客同士のコミュニティの意見を反映して開発した商品を展開するD2Cコスメブランドです。
従来の大量生産・大量消費の課題と向き合うサステナビリティな経営を理念としており、顧客ニーズに合わせた必要最小限の商品のみ生産しています。
Instagramでのプロモーションでは、自社で発行したハッシュタグ・メンション・コメント・DMなどを通じて顧客とこまめにコミュニケーションを行い、260万人以上のフォロワーの獲得に成功しています。
さらにYouTubeでは、モデルや著名人のメイク動画などでメイクのHow toや美への考え方を発信し、現在もコミュニティを拡大し続けているブランドです。
1-12. BULK HOMME(バルクオム)
2013年に事業をスタートした「BULK HOMME」は、「メンズスキンケアブランド世界シェアNo.1」をビジョンに掲げるD2Cコスメブランドです。
自社商品の品質に絶対的な自信を持つブランドであり、「バルク(中身)で勝負する」という哲学から、顧客の要望があっても現状の商品に手を加えず販売し続けています。
広告・LPを活用した施策では、SNSでのUGCを積極的に取り入れており、SNSユーザーに親近感を与えることで認知拡大を狙っています。
また、ユーザーが撮影した写真をInstagramアカウントでシェアすることで、ブランドとユーザーの距離を近づけ、新たなUGCに繋がる好循環を生み出しています。
1-13.youange(ユアンジュ)
タレントのゆうこす(菅本裕子)が手掛けた「youange」は、利用者がポジティブになれるように「あなたは天使(You Angel)」という想いが込められたブランドです。
睡眠不足でスキンケアにかける時間がない人でも、ポジティブな気持ちで眠れるスキンケアラインを展開し、多くのファンを獲得しています。
商品開発の打ち合わせをライブ配信で行い、視聴者の意見やリアルな声を取り入れることで、現代女子から支持される理想のスキンケア商品を誕生させました。
主にInstagramを活用した情報発信でプロモーションを行っており、さらにトークショーなどのオフラインイベントも開催し、消費者との積極的なコミュニケーションを大切にしているブランドです。
1-14.mixx(ミクス)
「わたしらしいを選ぼう。」をコンセプトに掲げる「mixx」は、オーダーメイドシャンプー&トリートメントを販売しているD2Cコスメブランドです。
ECサイトでは、髪の毛に関する8つの項目に回答することで、ユーザーの髪質や好みに合ったオーダーメイド商品を注文できるサービスを展開しています。また、商品には指定した名前やニックネームを入れることができ、顧客に特別な価値を提供します。
商品購入後は、LINE公式アカウントを利用した顧客へのアフターフォローを行っており、顧客満足度の向上やリピーター獲得の参考にもなる成功事例です。
1-15. COLORIS(カラリス)
2019年に株式会社ストークメディエーションからローンチされた「COLORIS」は、日本初のパーソナライズヘアカラーの$定期通販サービスを提供するD2Cコスメブランドです。
ECサイトからヘアカラーの無料診断を受けることで、1万通りの処方からユーザーにベストマッチするヘアカラーセットが案内されます。
「美容室に行くか、それとも市販品で染めるか」で悩んでいる20代〜40代の女性を中心に支持されているブランドであり、ローンチからわずか2年で会員数5万人を突破しました。
ECサイトには消費者のリアルな口コミも掲載されており、未顧客からの信頼を獲得できる工夫がなされています。
1-16. ドモホルンリンクル
「初めての方にはお売りできません」のキャッチフレーズでお馴染みの「ドモホルンリンクル」は、日本初となるコラーゲン配合の基礎化粧品を誕生させたD2Cコスメブランドの大手です。
商品購入前に3日間お試しできる無料お試しセットや、約1ヶ月お試しできる4点セット・8点セットなどのサービスを提供しており、消費者が気軽にすぐ利用できるハードルの低さに強みを持っています。
商品購入後には、お客様プリーザーが電話・メール・LINE・手紙・FAXなどの方法で顧客の悩みを解決しながら、自社商品の効果を最大化するアドバイスを行っています。
日本だけではなく中国越境ECも本格的にスタートさせており、お客様ファーストのD2Cビジネスで成功をおさめています。
1-17. meeth(ミース)
美肌研究家のソンミさんが手掛ける「meeth」は、「美肌は最高のジュエリー」をキャッチコピーとするスキンケアブランドです。
品質に強いこだわりを持って開発された商品は、日本・中国・台湾・シンガポールなどで多くのファンを獲得しており、2020年・2021年には台湾美容界のアカデミー賞とも呼ばれる「女人我最大 粉美賞」を受賞した実績があります。
また、サステナビリティな商品開発を志しているブランドであり、パッケージには環境に配慮した森林循環紙やベジタブルインクが使用されています。
生活における、さまざまなシーンでの肌の悩みに合わせた商品ラインナップは、美を追求する多くの女性ファンの獲得に成功しています。
2. D2CコスメブランドのECサイトを成功させる秘訣
D2CコスメブランドのECサイトで成功するには、消費者のリアルな声を取り入れた商品開発や、顧客一人ひとりにパーソナライズ化された戦略が重要となります。
2-1. 消費者の声を取り入れた商品企画・開発
ブランドと顧客がダイレクトに繋がるD2Cビジネスモデルでは、顧客ニーズを第一に考えた商品企画・開発が非常に重要です。
各種SNSから収集した消費者の声や、自社ECサイトで蓄積した顧客の購買データを商品開発に活かし、顧客獲得を狙っていきましょう。
また、開発ストーリーをECサイトに掲載することで、ブランドに共感を持った顧客を囲いやすくなり、リピーターの育成に繋がるという側面もあります。
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D2Cの特徴とは?メリット・デメリットや成功させるポイントを解説
2-2. SNSを活用した認知拡大
コスメブランドの認知拡大には、美容・健康に興味のあるユーザーが多く存在するInstagramをはじめ、TwitterやFacebookなどのSNSの活用が効果的です。
例えば、Instagramでは、商品の画像や生活での利用シーンをイメージさせる動画などのクリエイティブ配信を通じて、多くのユーザーに視覚的に訴求できます。
また、SNSで知名度のあるインフルエンサーを起用した自社ブランドの宣伝も、昨今におけるコスメECのトレンドの一つです。
SNSでのコンテンツ配信や広告運用などのプロモーションは、費用対効果が高く、ECサイトの認知拡大には欠かせません。
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D2Cで成果の出る広告運用とは?集客に繋がるポイントを解説
2-3. パーソナライズ化されたマーケティング
顧客一人ひとりのニーズに合わせてパーソナライズ化されたマーケティングは、顧客獲得・リピーター獲得・ファン化に繋げるために重要な手段となります。
例えば、自社ECサイトでスキンケアに関する無料診断アンケートを行い、結果に応じて顧客に最適な商品を案内するなどの取り組みが効果的です。
また、LINE公式アカウントやDMを通じて顧客とコミュニケーションを図り、悩みを解決しながら自然な流れでおすすめ商品を案内するのも戦略の一つです。
2-4. 販売チャネルでのブランドの世界観の統一
ECサイトをはじめ、SNSアカウント・広告・LPなどの販売チャネルで、ブランドの世界観を統一させましょう。
例えば、ECサイトのトップビジュアル・トンマナ・ブランドのロゴ・キャッチコピーなどでブランドの世界観を確立させた場合、SNSアカウントのプロフィール画像や配信コンテンツ、広告のデザインなどにも同様の世界観を体現します。
ブランドの世界観を統一することで、異なる販売チャネルでも同様の顧客体験を与えることでき、認知拡大に繋げることが可能です。
競合ブランドと差別化を図るためにも、ブランド独自の価値を見い出し、世界観に共感してくれた顧客を育成していく取り組みにも注力しましょう。
【関連記事】
ECサイトのブランディングを成功させる秘訣7選!具体的な施策を紹介
3. D2CコスメブランドのECサイト運用をAnyMindが支援します!
D2Cコスメブランドを展開する際は、自社ブランドの世界観や強みを確立して競合ブランドとの差別化を図り、顧客に最適なアプローチで認知拡大を狙っていきましょう。
SNSを活用した顧客との双方向コミュニケーションや、消費者の声を取り入れた商品開発も、自社ECサイトでのリピート顧客獲得・ファン化において重要な戦略となります。
「AnyMind Group」では、D2CコスメブランドのECサイト構築・戦略立案・レポーティング・広告運用代行などをトータルサポートしています。
自社ブランドの強みを最大限発揮できるマーケティング戦略に興味のある方は、お気軽に「AnyMind Group」までご相談ください。
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