ECで新規顧客を効率よく獲得してマーケットシェアを伸ばしたいとき、どのような対策が重要になるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
メンタルアベイラビリティとは、顧客がそのブランドを買いたいと想起させる能力のことであり、自社ブランド・商材の買い求め易さを示します。
現時点で自社ブランド・商材の認知度が低い場合には、メンタルアベイラビリティを高める施策により、新規顧客獲得・マーケットシェアの拡大に繋がります。
この記事では、ECで重要なメンタルアベイラビリティを構築するポイントや、関連性の高いフィジカルアベイラビリティについて解説します。
この記事でわかること
・ECでのメンタルアベイラビリティ
・フィジカルアベイラビリティの重要性
・ECでメンタルアベイラビリティを構築するポイント
こんな方におすすめ
・ECで新規顧客を効率よく獲得したい
・ECのマーケットシェアを拡大したい
・自社ブランド・商材の買い求めやすさを向上したい
1.メンタルアベイラビリティとは
メンタルアベイラビリティ(mental availability)とは、消費者のブランドに関する全ての記憶を指します。
消費者が何かを購入・実行しようとしたときに、自社ブランドのロゴ・イメージカラー・商品のデザインなどを想起させる能力の高さがメンタルアベイラビリティにあたります。
消費者にブランドの構成要素を一つでも多く記憶させることで、生活のあらゆる購買シーンで想起させる機会が増えます。
メンタルアベイラビリティを構築することで、ECの新規顧客獲得やマーケットシェアの拡大に繋がり、類似商品を販売する競合ブランドよりも優位に立つことも可能です。
2. メンタルアベイラビリティと関連性のある用語
メンタルアベイラビリティをECに活用するには、フィジカルアベイラビリティ・カテゴリーエントリーポイント・エボークトセットをそれぞれ理解する必要があります。
2-1. フィジカルアベイラビリティ
フィジカルアベイラビリティ(physical availability)とは、消費者が特定の商品を購入候補として想起したときの「商品の買い求め易さ」を指します。
消費者が「商品が欲しい」と考えたとき、すぐに購買できる状態を構築することでフィジカルアベイラビリティを高められます。
ECサイトにおいては、Googleの検索結果での上位表示や、消費者の目に留まる広告・LPの制作などが具体的な対策に挙げられます。
2-2. カテゴリーエントリーポイント
カテゴリーエントリーポイント(CEP:Category Entry Point)とは、消費者が何かを購入しようと考えたとき、思考・感情からブランドを想起させる接点のことです。
例えば、「ハンバーガーが食べたい」→「マクドナルドのチーズバーガーを食べよう」という風に、消費者が特定のブランドを思い出すきっかけがカテゴリーエントリーポイントにあたります。
ブランドの認知度が高いほど、多くのカテゴリーエントリーポイントを持っており、消費者の日常生活のさまざまなシーンで商品の購買機会を創出することが可能です。
【関連記事】カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?ECサイトでの活用方法を解説
2-3. エボークトセット
エボークトセット(Evoked Set:想起集合)とは、消費者が商品の購入を検討しているときに、頭の中でイメージされる「ブランドの集合体」のことです。
例えば、ビールを飲みたいと考えたときに想起される、スーパードライ・キリンラガー・エビスビールなどの商品名・ブランド名がエボークトセットにあたります。
消費者の自社ブランドに対する愛着度(プレファレンス)が高いほど、エボークトセットに含まれる機会が多くなります。そのためには、ブランドの認知度を向上させ、価格帯を最適化し、商品・サービスの付加価値を高めることが重要です。
3. ECでメンタルアベイラビリティを構築するポイント
ECでメンタルアベイラビリティを構築するには、カテゴリーエントリーポイント(CEP)の刷新や、複数チャネルでの情報発信が必要になります。
3-1. カテゴリーエントリーポイント(CEP)の明確化
自社ブランドで注力すべきCEPは、5W2Eのフレームワークに関連性のあるキーワードを当てはめることで明確化できます。
5W2E | 詳細 |
Why(なぜ・どうして) | 想起した理由 |
Who(誰が・誰と) | 想起したきっかけになった人・モノ |
Experience(体験) | 想起に至った体験元 |
Emotions(感情) | 想起と共に生まれた感情 |
When(いつ) | 想起したタイミング |
Where(どこで) | 想起したときの場所 |
What(何を・何をしている時に・何と一緒に) | 想起したときにしていた事 |
メンタルアベイラビリティを向上させるには、より購買に近い記憶構造で自社ブランドを想起させる必要があります。
自社ブランドのイメージに合うCEPをいくつか絞り込んだ後は、そのCEPの市場規模や競合他社との結びつきを調査し、自社に優位性のあるCEPをマーケティングに活用しましょう。
3-2. SNSでの情報発信
自社SNSアカウントで、消費者の生活シーンに紐付いたコンテンツを配信することで、CEPの増加とメンタルアベイラビリティの向上に繋がります。
膨大なユーザー数を誇るSNSでは、自社ブランド・商材が消費者の口コミで爆発的に拡散されて注目される「バズる」という現象が起こることがあります。
消費者の口コミ・評価で生成されたコンテンツは「UGC」と呼ばれ、ブランドやECサイトの信頼度に影響を与える重要な要素です。
自社ブランド・商材とキーワードを同時に訴求できるように、配信コンテンツのテキストやハッシュタグなどに親和性の高いキーワードを積極的に活用しましょう。
3-3.Web広告・SNS広告運用
ECサイトのWeb広告・SNS広告を出稿する際は、メンタルアベイラビリティを意識した広告メッセージで訴求しましょう。
ターゲットを限定しすぎてスケールメリットを失わないように、CEPを起点とした幅広いターゲット層に魅力的な広告を配信することが重要です。
各種広告のパフォーマンスを測定し、特に反応が多かったCEPを優先的に活用するなどして、広告コミュニケーションをアップデートしていきましょう。
4. ECでフィジカルアベイラビリティを構築するポイント
フィジカルアベイラビリティを構築するには、ブランドのプレゼンス(存在感)、レレバンス(買い易さ)、プロミネンス(目立っているか)を意識した施策が必要とされます。
LPO(ランディングページ最適化)
LPOとは、消費者のニーズに合わせてランディングページを最適化し、サイト来訪者の離脱を防止する対策のことです。
LPで商品の買い求め易さ(フィジカルアベイラビリティ)を高めるには、サイト来訪から商品購入までの導線を改善する必要があります。
消費者を悩ませないように情報量を最小限に留め、外部とのリンクを極力排除することで離脱の抑制とコンバージョン(CV)の増加に繋がります。
LPOの効果を最大化するには、デザイン・キャッチコピー・画像・ページ構成要素をA/Bテストで検証することが大事です。
狙いたいターゲットにパーソナライズ化されたLPを用意して、フィジカルアベイラビリティを構築しましょう。
ブランド・商材に合わせた販売チャネルの構築
ECサイトと消費者の接点を増やすために、販売チャネルを拡大しましょう。
販売チャネルは、自社ブランド・商材に合わせて構築することが重要です。例えば、価格で勝負できる商材であれば、AmazonやYahoo!ショッピングなどの大型ECモールが適しています。
トレンドに敏感な若年層に向けて、化粧品・コスメ・アパレルなどを販売したい場合には、Instagramショッピングを活用することで、ECサイトへスムーズに遷移させられます。
新規顧客獲得キャンペーンの実施
新規顧客に向けたキャンペーンは、商品の認知から短時間での購買に期待できます。
例えば、商品を購入前にお試しできるキャンペーンの実施や、期間限定で利用できる割引クーポンの配布が新規顧客獲得に効果的です。
顧客の購買意識を失わせないように、できるだけ無駄な手順を踏ませないような工夫をしましょう。
在庫管理の効率化
商品の認知から購買までの導線を整備しても、肝心な在庫がなければコンバージョンに繋がりません。
自社ECサイト・ECモール・実店舗などの異なる販売チャネルを持っている場合は、在庫情報を一元管理できるツールを導入し、欠品・不足を予防しましょう。
価格帯の最適化
消費者が商品を購入する際に自社ブランドを想起したとき、適正な価格でなければ購入を止めてしまう可能性があります。
適正な価格帯は、同じ市場で類似商品を販売する競合サイトを分析することで判断できます。競合よりも価格を安くすれば購買に繋がる機会が増えますが、商材によっては価格で差別化が難しい場合もあります。
価格で勝負できない場合には、ECサイトのブランディングに力を入れ、価格以外の要素に価値を付与する取り組みをしましょう。
【関連記事】
ECサイトのブランディングを成功させる秘訣7選!具体的な施策を紹介
決済方法の追加
自社ブランドの顧客ニーズに合わせて、ECサイトに多様な決済方法を設け、購入前の離脱を防止しましょう。
スマートフォンでスピーディーに決済できるキャリア決済・電子マネー決済・ID決済などに対応することで、顧客が欲しい商品をすぐ購入できる環境を整えられます。
カートに追加してから決済完了までの操作はできるだけ簡略化し、顧客にストレスを与えないようにしましょう。
5. AnyMindがECサイトのブランディングをサポートします!
メンタルアベイラビリティは、消費者の購買行動において、自社ブランドの想起されやすさを表すものです。
ECでメンタルアベイラビリティを構築するには、カテゴリーエントリーポイントを明確化し、SNS・広告などの各チャネルで商品の買い求め易さを高める施策が必要になります。
「AnyMind Group」では、貴社のブランド・商材に合わせたECサイトのブランディングを戦略立案からレポーティングまで包括的にサポートしています。ブランド・商材に合わせてメンタルアベイラビリティを構築し、ECサイトの新規顧客獲得に繋げたい方は、この機会に「AnyMind Group」までお気軽にご相談ください。
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