近年におけるEC市場の拡大と新規参入企業の急増により、ECサイトのブランディングで競合他社との差別化を図ることが重要視されています。
しかし、自社ブランド・商材の存在を顧客に認知させて愛着を持ってもらうために、どのような戦略を立てれば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ECサイトのブランディングを成功させる7つの秘訣を詳しくご紹介します。
この記事でわかること
・ECサイトのブランディングを行うメリット
・ECサイトのブランディングの進め方
・ECサイトのブランディングを成功させる秘訣
こんな方におすすめ
・自社ECサイトを競合サイトと差別化する方法を知りたい
・自社ECサイトのリピーター獲得し、ファン化に繋げたい
・価格以外の要素で自社ブランドの強みをつくりたい
1. ECサイトにおけるブランディングとは
ブランディングとは、自社ブランドに対して顧客に抱いてほしい価値・イメージを、企業側が創り出し、顧客に提供するマーケティング戦略のことです。
他社の類似商品との差別化を図り、未顧客の認知拡大や、既存顧客の自社ブランドに対する愛着を最大限深めることがブランディングの目標とされます。
ブランドの独自性を築き上げるには、ブランドコンセプトと世界観を体現したECサイトの構築や、獲得したい顧客層に合わせた施策の実行が重要です。
ブランディングを効果的に実行することで、ECサイトの売上拡大に繋がるだけではなく、価格競争から抜け出す鍵となります。
2. ECサイトのブランディングが重要視される背景
自社ECサイトの運営において、なぜブランディングが重要視されるのかを詳しく解説します。
2-1. EC市場における競争の激化
商品・サービスをオンラインで購入するのが当たり前になった今、国内には190万店舗近くのECサイトが存在すると言われています。
EC市場の競争の激化によって、競合サイトに埋もれないために、差別化が重要視されるようになりました。
競合サイトとの価格競争で不利なECサイトは、ブランディングを通じて顧客に選ばれる価値を創出しなければ、今後EC業界で生き残ることは困難です。
2-2. 消費者行動の変化
近年におけるスマートフォンの急激な普及や、コロナ禍による新しい生活様式の定着により、消費者行動に大きな変化がみられました。
「モノ消費」から「コト消費」へのシフトが加速しており、顧客は商品を得るだけではなく、商品の利用によって得られる体験を重視した購買も増加しています。
コト消費を求める消費者を獲得するためにも、ブランドコンセプトを確立し、ストーリーを付与することが重要です。
3. ECサイトのブランディングを行うメリット
ECサイトのブランディングは、顧客の育成や集客数アップ、収益性の向上などに効果を発揮します。
3-1. リピーター顧客・ファンの獲得
ブランドの魅力が伝わるように自社ECサイトを改善することで、顧客のブランドに対する愛着が増し、リピーター獲得に繋がります。
さらにリピーター顧客に対して、継続的に商品を購入してもらえるようなアプローチをし続けることでファン化に繋がり、安定的な収益にも期待できるようになります。
昨今におけるEC業界では、新規参入した企業のECサイトが急増したことで、新規顧客の獲得が難しくなってきているのが現状です。
ブランディングを通じて顧客にリピートしてもらい、さらにファンに育成することで、新規顧客を獲得するよりも効率よく売上アップにつなげることができます。
3-2. UGCによる集客数アップ
UGC(User Generated Contents)とは、ユーザーによって生成されたコンテンツのことです。
UGCを増やすことで、自社ブランド・商材の信頼性が高まり、ECサイトの集客数アップに繋がります。
SNSに投稿された自社ブランド・商材に関する投稿・評価や、オウンドメディアのブログに投稿された口コミなどがUGCにあたります。
消費者のリアルな声が反映されたUGCは、購入を迷っている消費者に対して信憑性の高い情報となり、購買の後押しになります。
3-3. 価格競争からの脱却
ECサイトのブランディングに成功すると、競合他社と価格以外の要素で優位性を確立することができます。
EC業界は、類似商品を販売する競合他社との価格競争に巻き込まれやすいのが現状です。
同じような商品を販売しているECサイトが複数ある場合、「なるべく安いサイトで買いたい」と考える消費者は少なくありません。
ブランディングを確立することで、顧客に安さ以外の価値を提供することができるため、価格競争から脱却するひとつの手段となります。
3-4. 収益性の向上
自社ブランドを定期的に購入するリピーターやファンを獲得することで、ECサイトの収益性が向上が見込めます。
既存顧客は新規顧客よりも購買の可能性が高く、費用対効果が高くなります。
既存顧客に自社ブランドの魅力を積極的に発信することで、継続的な売上に繋がるだけではなく、顧客単価の向上にも期待できます。
3-5. 優秀な人材の確保
ECサイトのブランディングを確立させることで、企業や商品への信頼性が高まり、優秀な人材の獲得にも繋がります。
また、自社ブランドや商品の価値を社内に浸透させる「インナーブランディング」によって、社内でのブランドに対する認識が一致することで、さらにブランド力向上が加速するという効果もあります。
4. ECサイトでのブランディングの進め方
ここからは、ECサイトでのブランディングの進め方をフローに沿って解説します。
4-1.①環境分析
まずは、自社商品・サービスが影響を受ける要素を分析し、顧客の需要や事業の可能性など、現状把握を行います。
環境分析に用いられる分析手法は、3C分析・PEST分析などです。外的環境に対する自社ブランドの立ち位置を知り、ブランディングの土台を固めましょう。
4-2. ②競合他社のリサーチ
市場調査を行った後は、競合他社のリサーチを行います。競合他社の取扱商品や販売手法、獲得しているシェアなどを調査しましょう。
競合他社の商品のメリットを分析することで、自社商材の差別化を図りやすくなり、次の工程で決めるターゲットに最適なアプローチができるようになります。
4-3.③ブランドアイデンティティの決定
ブランドアイデンティティとは、「ブランド独自の価値」を意味し、自社ブランドをユーザーにどのように認識されたいのかを決めます。
自社ブランドの長所や強みを洗い出し、どのような価値を付与して競合他社と差別化を図るのかを明確にするフェーズです。
SWOT分析などを用いて、自社の差別化ポイントを作りましょう。
4-4. ④ブランドコンセプト・世界観の体現
ブランドコンセプトは、ブランドアイデンティティ・市場・競合・ターゲットに対する強みを整理した上で、商品・サービスの魅力がより引き立つコンセプトを策定します。
ユーザーのライフスタイルに、自社商品・サービスが導入されるイメージをしながら、広すぎない範囲で適切なコンセプトを探りましょう。
ブランドコンセプトと世界観をECサイトやSNSなどで体現することで、競合との差別化を図ることができます。また、世界観に共感してくれる顧客のファン化を狙いやすくなる側面もあります。
具体的には、ECサイトのビジュアルに関わるデザイン・トンマナを統一し、ブランドの開発ストーリーや商品のこだわりなどをサイト上で公開し、世界観を体現しましょう。
4-5. ⑤ペルソナの決定
自社商品・サービスを売りたい消費者のペルソナを設定し、ターゲットを絞り込みます。
特定のユーザー層の心に刺さるブランディングをするために、ここでターゲットを明確にすることが重要になります。
自社ECサイトで商品を購入したユーザーに、どのような価値や体験を与えたいのかをイメージしながらペルソナを絞りましょう。
4-6. ⑥ペルソナを意識した施策の実行
設定したペルソナを意識して、広告・SNS・メルマガなどのアプローチを行いましょう。
4P分析を活用しながら施策のPDCAサイクルをまわしていくことが必要です。
4P分析とは、製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)という4Pの整理・分析を行うフレームワークのことです。
自社商品がどのくらいの価格で、どのような場所で、どのような手段で購入されたかを明確にし、施策を可視化できます。
他社の施策とのギャップ・優位性を測定できる分析手法でもあり、課題に合わせて柔軟に施策を改善することが可能です。
5. ECサイトのブランディングを成功させる秘訣5選
ECサイトのブランディングを成功させるには、広告運用やSNSアカウントの活用、物流管理に至るまで注力する必要があります。
5-1. ECサイト・SNS・広告でのコンセプトの統一
ブランドコンセプト・世界観は、ECサイト・SNS・広告で統一してブランディングに一貫性を持たせましょう。
SNSのフィード投稿に使用する画像・動画などは、ブランドの世界観とブレないようにデザインやトンマナを基準として選定します。
広告も同様にECサイトのデザインと剥離しないように注意し、キャッチコピーでもブランドの世界観を体現することが重要です。
5-2.SEO対策・広告運用などの集客施策
自社ブランド・商材の認知度を高めるためには、さまざまなチャネルからの流入を増加させる集客施策が必要です。
【関連記事】
自社ECサイトの集客方法とは? 成果を上げる8つ施策を紹介
SEO対策のポイント
SEO対策は、中長期的に取り組むことで、セッション数の増加が見込めます。
主にGoogleなどの検索エンジンで、ターゲットが検索するであろうキーワードを選定し、自社ECサイトやオウンドメディアのブログ記事の上位表示を狙います。
検索順位を上げるには、自社の商品・サービスと親和性の高いキーワードや競合が少ないニッチなキーワードの選定に加え、タイトル・ディスクリプションの最適化やサイトの内部構造の改善が必要になります。
ブランディングだけ先行しても、ECサイトの存在を知ってもらわなければ売上拡大には繋がりません。
広告運用のポイント
そこで、以下のようなさまざまな広告媒体を活用して、ECサイトの認知度向上やセッション数の増加を狙いましょう。
・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・リマーケティング広告
・SNS広告
・Googleショッピング広告
・アフィリエイト広告
・メルマガ広告
広告の種類や配信タイプは、自社商品・サービスやターゲット層によって使い分ける必要があります。
顧客の属性情報・購買行動などを分析できるCRMツールを利用することで、顧客に最適な広告配信が可能になります。
各種広告運用のポイントや費用対効果を改善する方法をさらに詳しく知りたい方は、関連記事をご覧ください。
【関連記事】
ECサイトの集客で運用すべき広告とは? 特徴や費用対効果を解説
ECサイトにおけるCRMとは?活用方法やメリットを詳しく解説
5-3. SNSを活用したクリエイティブな配信
自社のSNS公式アカウントで、商品を視覚的に訴求できる画像・動画の配信を継続的に行うことで、ブランドの認知度を高められます。
例えば、Instagramであれば、通常のフィード投稿をはじめ、ストーリー・リール・IGTVなどの多彩な動画投稿機能で、未顧客から既存顧客まで幅広くアプローチできます。
SNSの投稿やプロフィール欄にECサイトへのリンクを置くことで、ブランドの認知度を高めながらセッション数の増加を狙うことが可能です。
SNSを活用したクリエイティブな配信は、既存顧客のエンゲージメントを高められるため、ECサイトのブランディング戦略に積極的に取り入れてみましょう。
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インスタグラム集客のコツとは? 成功につながる重要ポイントを解説
5-4. モバイルフレンドリーなUI/UX設計
ECサイトの洗練されたUI/UX設計は、さまざまな流入元から来訪したユーザーの印象を高めます。
近年のECサイトにおいては、スマートフォンでの表示に最適化したモバイルフレンドリーなUI/UX設計が重要とされています。
ECサイトにおけるUI(ユーザーインターフェース)とは、サイトとユーザーを繋ぐ接点のことです。具体的には、画像・ボタン・テキストなどの視覚的な情報が挙げられます。また、アクセスから商品の購入まで、いかにスムーズに繋げられるかを考慮した設計が求められます。
UX(ユーザーエクスペリエンス)は、ECサイトを利用する全ての体験・経験を指します。ECサイトを訪れて利用したときに「デザインがおしゃれ」「ナビゲーションが使いやすい」などの感覚がUXにあたり、ユーザー目線で改善することが大事です。
また、ECサイト・実店舗・SNS・アプリなど、顧客とのさまざまな接点を統合・連携してシームレスな体験を与えるオム二チャネル化もUXの向上に繋がります。
顧客の記憶に残るブランドになることを意識して、各チャネルの戦略を見直しましょう。
5-5. 物流品質の向上
顧客に自社商品・サービスを長く愛用してもらうには、商品購入後の物流にまでこだわったサービスの提供が大事です。
物流品質を向上させたい場合、オムニチャネル化で在庫管理を効率化し、顧客が欲しいと思った商品をスピーディーに配送できる体制を構築する必要があります。
ブランドイメージに直接影響を与える要素ではありませんが、広い意味でのブランディングとして戦略に取り入れましょう。
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5-6. ECコンサルティングによる戦略策定
ECサイトのブランディングに向けて改善すべき点は多岐にわたり、分野によっては専門知識が要求されます。
自社にブランディングに精通したリソースがない場合には、ECサイトの運営における戦略立案から施策の実行、効果測定までサポートするECコンサルティングへの依頼を検討しましょう。
ECコンサルティング会社は各社で強みが異なるため、自社の課題に合わせて選定することが重要です。
商品の企画から物流代行サービスまで一気通貫でサポートする会社であれば、自社のリソースをコア業務に集中させながらEC事業の成長を目指すことができます。
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6. ECサイトのブランディングはAnyMindにお任せください!
EC事業へ新規参入する企業が続々と誕生する中、ECサイトのブランディングで競合他社と差別化を図り、リピーター顧客やファンを獲得することは非常に重要です。
ブランディングの成功の鍵となるのが、調査・分析に基づいた明確なターゲット設定や、さまざまなチャネルを活用した集客施策、顧客目線に立ったUI/UXの改善などです。
「AnyMind Group」では、ブランド・商材に合わせたECサイトの構築・戦略立案・レポーティング・フルフィルメントをトータルサポートしています。
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