ECサイトの売上を最大化するためには、広告運用によるセッション数の増加や認知の拡大が非常に重要です。
広告運用にはコストがかかるため、費用対効果を高め、効率よく集客につなげることが必要です。
この記事では、ECサイトの集客で運用すべき広告とその特徴、費用対効果などを解説します。
この記事でわかること
・ECサイトの広告運用で重要な広告費率
・ECサイトの広告を適切な広告費で運用するためのポイント
・ECサイトにおける広告の費用対効果をアップさせる秘訣
こんな方におすすめ
・ECサイトの集客を目的とした広告運用のコツを知りたい
・自社ECサイトにより適した広告を選びたい
・広告運用を最適化して広告費を削減したい
1. 広告運用で重要な「広告費率」とは
ECサイトで広告運用をする際、総売上に対する広告宣伝費の割合である「広告費率」を把握しておくことが大事です。
【広告費率(%)】=【広告宣伝費】÷【総売上】×100
広告宣伝費とは、宣伝効果を目的として支出する費用であり、消費者に商品・サービスを訴求するために使う販売促進費とは明確に異なります。
どのくらいの広告宣伝費をかければ良いかは、ビジネス規模や年間LTV(顧客生涯価値)との比率、CPO(顧客獲得単価)などを基準に決定します。
一般的にECサイトでの適切な広告費率は、月商の20%〜30%だと言われています。 ただし、ビジネスモデルによって広告費率は異なり、単品通販の場合は50%を超えることもあります。
2. 適切な広告費で運用するためのポイント
適切な広告費率で運用するためには、「どのような要素が広告宣伝費に関わるのか」を理解する必要があります。
2-1. ROASに囚われない
広告パフォーマンスを評価する際に、広告の費用対効果を示す「ROAS」を指標とすることが多いかと思います。
しかし、ROASとは広告費と売上の比率を表したものであり、利益を測ることはできません。
例えば、ROASが200%だとしても、原価や人件費を引くと赤字になっているというケースもあるため、ROASに囚われた広告設計は危険といえます。
ROASは、広告の画像や種類、期間などを比較する際に有効であり、各指標を正しく使い分けましょう。
2-2. 目標の限界利益率と計算期間から逆算する
「特定期間での限界利益」と「ユニットエコノミクス」から、適切な広告費を算出できます。
限界利益は、以下の計算式で求められます。
①【限界利益】=【商品代金】ー【変動費】
②【限界利益率】=【限界利益】÷【売上高】×100
ユニットエコノミクスとは、事業の健全性を示す指標で、主にサブスクリプション型ビジネスモデルで使われます。
初回購入は赤字でも、「アップセル・クロスセルを含むリピーター育成によってN回目の購入で回収する」という考え方で、どこまで費用をかけるべきかがわかります。
ユニットエコノミクスは、以下の2つの条件を満たしている場合に適正と判断できます。
①【LTV(顧客生涯価値)】÷【CAC(顧客獲得単価)】>3
②CACの回収期間が12ヵ月以内である
2-3. 広告媒体の使い分け
ECサイトで運用する広告は、リスティング広告・ディスプレイ広告・SNS広告など、種類によってさまざまな特徴があります。
広告運用の目的・商材・ターゲット層によって媒体・配信タイプを使い分けることが重要です。
2-4. 目的に合った広告費の算出
広告宣伝費の予算は、目的や課題に合わせて算出する必要があります。
アクセス数アップを目的にした場合、広告のクリック単価(CPC)と目標とする訪問顧客数に乗算し、広告予算を算出します。
売上アップを目的にする場合、以下の方法で平均客単価と平均購買率を用いて、以下のように算出します。
①【獲得すべき購入顧客数】=【売上目標】 ÷ 【平均購入単価】
②【必要な訪問顧客数】=【獲得すべき購入顧客数】÷【平均購買率】
③【広告予算】=【必要な訪問顧客数】×【クリック単価】
上記は利益度外視の計算方法のひとつです。
広告予算を検討する際は、何を目的にするか明確にした上で、上記のようなシミュレーションを行いましょう。
2-5. CPOで広告投資の効率を検証
CPO(顧客獲得単価)とは、新規顧客1人を獲得するためにかかった広告費用のことです。
CPOが低いほど広告の費用対効果が高いことを意味します。
単品通販などリピート購入を前提とする場合、初回購入金額がCPOよりも高くなることもあります。 リピートを踏まえた上で、CPOが適切か検証する必要があります。
リピートを踏まえた上で、CPOが適切か検証する必要があります。
2-6. 広告のCVRを上げる方法は2パターンある
広告のCVR(コンバージョン率)を向上させるためには、入り口を狭めるか、出口を広げる必要があります。
入り口を狭めるために、広告のターゲティングを絞ることで、CVの見込みがあるクリックを効率的に獲得できるようになります。
また、出口を広げるためには、ECサイトのUIUXや、ランディングページの見直しが有効です。
2-7. LTVを踏まえた売上の算出
LTV(顧客生涯価値)は、顧客が生涯どれだけの利益をもたらすかを表しており、広告によってもたらされる最終的な売上を考える際に重要な指標です。
【広告経由での売上】=【平均購入単価】×【平均購入回数】×【広告経由での購入者数】
LTVを踏まえた広告の売上を算出することで、長期的な視点で、広告宣伝費が適切か判断する基準になります。
2-8. 効果検証にはデータの裏付けが大切
広告の効果を検証する際は、分析ツールなどを活用し、データによる裏付けを行うことが重要です。
広告効果測定ツールや「Google Analytics」などのアクセス解析ツールを利用することで、運用データを取得することができます。
正確な検証結果を得るために、運用前に検証要素を絞ることも大切です。
3. ECサイトの集客で運用されている代表的な広告
ECサイトの集客には、異なる特徴を持ったさまざまな広告が運用されています。
3-1. リスティング広告
リスティング広告とは、指定したキーワードが検索されたときに、GoogleやYahoo!などの検索結果に表示されるテキスト形式の広告です。
キーワードを指定できるため、商品に興味を持つ可能性が高いユーザーにリーチすることができるというメリットがあります。
1クリックごとに広告費が発生するクリック課金方式であり、広告費をいくらかけるかは、広告主が費用相場と比較しながら決定します。そのため、費用対効果の高い広告運用が可能です。
3-2. ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠にユーザーの閲覧履歴や興味関心に合わせた広告が表示されます。
ディスプレイ広告のメリットは、安価にクリエイティブのABテストを実施できる点です。
キャッチコピー・商品画像・デザイン・CTAの効果検証と改善を繰り返しながら、広告運用を最適化してCV向上を目指せます。
3-3. リマーケティング広告
リマーケティング広告は、ECサイトを一度訪れた後に離脱したユーザーに対し、Cookieによる追跡を利用して広告を表示させます。
自社の商品・サービスに興味を持つ顕在顧客に対して再アプローチでき、既存顧客のリピート施策としても有効です。
3-4. SNS広告
SNS広告は、各SNSのフィード(タイムライン)や、ストーリーなどに表示させる広告です。
【SNS広告の配信先】
・Instagram
・Twitter
・LINE
・TikTok
・YouTube
・Facebook
画像や動画などのクリエイティブな広告を低コストで配信でき、一般の投稿と似た形で表示されるため、広告に対する抵抗感が少ないというメリットがあります。
3-5. Googleショッピング広告
Googleの検索結果に加えて、「Google ショッピング」にもキーワードと関連性の高い商品を画像とテキストで表示されるのがGoogleショッピング広告です。
課金方式はリスティング広告と同じですが、広告文の作成は必要ありません。
広告には商品の画像・価格・販売元・ジャンルなどが表示され、顧客に対して視覚的なアプローチでリーチできます。
3-6. アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、Webサイトやアプリの広告枠に掲載する成果報酬型の広告です。
アフィリエイターが運営するWebサイトなどに自社商品・サービスの広告を表示し、広告経由で商品を購入された時に報酬が発生する仕組みです。
CVが発生した場合のみ広告費を支払うため、リスクが低く、費用対効果の高い広告です。
3-7. メルマガ広告
メルマガ上に表示させるメルマガ広告は、顕在顧客に対して即効性が期待できる施策です。
セグメンテーションでターゲットを限定することで、より顧客の興味関心を引く商品・サービスの訴求が可能となり、リピーター増加も狙えます。
4. 広告の費用対効果をアップさせる秘訣
ECにおける広告は、セッション数や売上に直結するため、費用対効果を高め、効果的な運用をすることが重要です。
4-1. 分析ツールを利用したターゲティング設定
顧客のさまざまな情報を分析・管理できるCRMツールを利用することで、それぞれのターゲットに最適な広告配信が可能になります。
CRMツールでは、属性情報やECサイト内での購買行動をもとに、同じ傾向にある顧客をグループ分けする、セグメンテーションを行えます。
例えば、ECサイト内での商品の購入履歴や閲覧履歴に合わせた広告配信、見込み顧客向け・優良顧客向けの広告を使い分けることができます。
【関連記事】
ECサイトにおけるCRMとは?活用方法やメリットを詳しく解説
CRMマーケティングとは? メリットや施策を成功させるポイントを紹介
4-2. A/Bテストで広告を最適化する
広告効果のパフォーマンスを最適化したい場合、訴求ポイントがそれぞれ異なる「広告A」と「広告B」を比較・検証するA/Bテストが効果的です。
例えば、ディスプレイ広告の場合、タイトルや広告文を比較し、効果が高いものを組み合わせることで最適化を図れます。
LPの場合は、ファーストビューやCTAなどを比較することが可能です。
A/Bテストは、比較対象の部分以外を一致させなければ、正確に分析することはできません。比較要素を絞り、効果的なA/Bテストを実施しましょう。
4-3. 潜在顧客が多いSNSで広告を打つ
各SNSで、ユーザーの属性や特性が異なるため、自社商品・サービスと親和性の高いSNSで広告を打つことが重要です。
例えば、高価な商品を販売する場合、比較的ユーザーの年齢層が低いInstagramではなく、Facebookで広告を運用するといった選択ができます。
逆にトレンドに敏感な若者をターゲットにしたい場合は、InstagramやTikTokでの広告運用が効果的です。
4-4. PDCAサイクルで広告を最適化する
PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取った言葉です。
以下のPDCAサイクルをまわすことで、広告効果を向上させることができます。
フェーズ | 概要 |
Plan(計画) | 既存の広告の問題点を洗い出し、売上・CV・CPAなどをKPI(重要業績評価指標)に置いた計画を立てる。 |
Do(実行) | 計画を実行に移し、分析ツールを利用して施策の結果を記録する。 |
Check(評価) | 分析結果からKPIの達成度を確認し、施策の効果測定を行う。 |
Action(改善) | 効果測定の結果に基づき、課題を解決できる新たな施策の計画を立てる。 |
PDCAサイクルで最も重要なのが、仮説に基づいて検証を行い、広告の効果や問題点をしっかり把握することです。
4-5. 広告運用のノウハウがある代行会社に依頼する
広告運用に強いECコンサルティング会社に依頼することで、自社にノウハウがなくとも広告効果のパフォーマンスを向上させられます。
ECコンサルティングは、ブランド・商材に適した広告の配信先の選定をはじめ、広告クリエイティブやテキストの作成、広告設定・運用、効果測定、レポーティングなどをサポートしています。
どのような広告が自社ECサイトに適しているか分からない場合には、ECコンサルティングに相談することを検討しましょう。
【関連記事】
ECコンサルとは?業務内容や選定ポイントまで詳しくご紹介
【2022年】ECコンサルティングに強い企業15選!サービスの特徴を比較
5. AnyMindがECサイトで必要な広告運用をサポート!
ECサイトの売上を最大化するためには、目的に合わせて適切な広告費で運用し、自社商品・サービスと相性の良い広告を使い分けることが重要です。
広告運用の最適化には、CRMツールを活用したターゲット設定や、PDCAサイクルによる施策の改善とアップデートも欠かせません。
「AnyMind Group」では、ECサイトの売上拡大につながる、広告運用のトータルサポートを行っています。
広告設定や運用方法、PDCAサイクルの構築にお悩みの方は、「AnyMind Group」までお気軽にご相談ください。
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