自社で企画・製造した食品を、自社ECサイトで販売するD2Cビジネスを展開する際、どのような販売戦略で効率的に顧客を獲得できるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
食品系D2Cブランドで成功を収めるには、明確なブランドコンセプトの設計や、世界観を体現したECサイトの製作、SNSを活用したマーケティングなどが重要になってきます。
この記事では、食品系D2CブランドのECサイトの特徴や、成功事例13選をご紹介します。
この記事でわかること
・食品系D2CブランドのECサイトの特徴
・食品系D2Cブランドで成功するポイント
・食品系D2Cブランドの成功事例
こんな方におすすめ
・自社で企画・製造した食品を自社ECサイトで効率よく売りたい
・顧客のファン化に繋がる施策をSNSや自社ECサイトで実施したい
・食品系D2Cブランドの成功事例を参考にしてマーケティングに活かしたい
1. 食品系D2Cブランドとは
D2C(Direct to Consumer)とは、企業やメーカーが自社で企画・開発した商品を、卸売業者や小売業者を介さず、自社ECサイトで消費者に直接販売するビジネスモデルのことです。
食品をはじめ、アパレル・化粧品・生活雑貨など、さまざまな分野でD2Cが注目されています。
1-1. 食品ECの市場規模
経済産業省が公開した「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)」では、食品・飲料・酒類におけるBtoC-EC市場規模が近年大きく伸びていることがわかります。
2019年に1兆8,233億円だった食品・飲料・酒類のBtoC-EC市場規模は、2020年に2兆2,086億円まで拡大。EC化率も2020年においては、前年比21.13%増の22.086%と飛躍的に伸びています。
コロナ禍により急拡大したEC市場に消費者が定着することで、ECでただ商品を購入するだけでなく、情緒的な価値を求める「コト消費」の需要が高まっています。
2. 食品系D2CブランドのECサイトの特徴
食品系D2Cブランドは、一般的なECサイト型・定期販売専門型・スーパーマーケット型の3種類に分類されます。
2-1. 一般的なECサイト型
食品・飲料・酒類をオンラインで一般消費者に販売するのが「一般的なECサイト型」です。
小売店、百貨店のほか、生産者やメーカーなどが販売元となり、自社ECサイトの他、楽天市場といったECモールに出店するケースもあります。
2-2. 定期販売専門型
D2Cを基盤として、食材や加工品を定期的に一般消費者に販売・配達するのが定期販売専門型ECサイトです。
季節に応じて旬な野菜・フルーツを販売したり、産地直送の食材を使って短時間で調理できるパッケージを提供したりするビジネスモデルです。
2-3. スーパーマーケット型
地域密着型で商品を販売するオフラインのスーパーマーケットが、ECサイトを通じてオンラインで商品を販売するのが「スーパーマーケット型」です。
食材・食品・酒類に加えて、実店舗で扱う生活雑貨・ベビー用品なども併せて販売するのが特徴です。
3. 食品系D2Cブランドで成功するポイント
食品系D2Cブランドで成功するポイントをご紹介します。
3-1. ブランドのコンセプト・世界観の体現
自社でECサイトを構築するD2Cのメリットを活かし、ブランドのコンセプト・世界観を体現したECサイトで競合と差別化を図ることは非常に重要です。
例えば、食材・素材・調理へのこだわりや、商品の開発ストーリーなどを伝えるコンテンツを製作し、ECサイト全体でブランドカラーを統一するなどして世界観を体現できます。
また、SNSなどでの認知を拡大を図る際も、ブランドの世界観を視覚的に訴えることができるため、一貫したブランディングが重要になります。
3-2. SNSを活用したマーケティング
膨大なユーザー数を持つSNSでのマーケティングは、低コストで自社ブランドの認知度拡大と新規顧客獲得を狙うことができます。
食品系D2Cブランドにおいては、ブランドや商品の信頼性が購入に大きく影響します。
例えば、SNSに投稿されたユーザーの口コミ・レビューなどコンテンツ(UGC)を活用した施策で、ブランドの信頼性を高めることが可能です。
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3-3. 顧客の囲い込みとファン化
近年におけるEC業界は、参入企業が多いため、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客にリピートを促す方が、費用対効果が高くなります。
顧客を育成してファン化させるには、ブランドの世界観に共感をもってもらうことや、CRM(顧客関係管理)を活用して顧客毎に最適な施策を実施するなどの手段が挙げられます。
食品系D2Cブランドの場合、定期的な消費を想定したサブスクリプションの導入なども効果的です。
3-4. 商品・物流・顧客管理の効率化
D2Cでは、自社で商品の受発注管理・在庫管理・物流管理・顧客管理を全て行います。
一連の業務を自社のリソースで管理し切れない場合は、一元管理ツール・CRMツールを使って業務を効率化するか、外部にアウトソーシングすることで解決できます。
また、ECプラットフォームを選定する際に、食品ECに適したカートシステムを選ぶことで、保管・配送の温度帯(常温・冷蔵・冷凍)や出荷場所・日時などを細かく設定することができます。
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4. 食品系D2Cブランドの成功事例13選
4-1. Oisix(オイシックス)
オイシックス・ラ・大地株式会社が展開する「Oisix」は、有機野菜・特別栽培農産物などを販売するD2Cブランドです。
食材とレシピが一体化したミールキットは、共働き家庭から好評を得ています。購入者のアンケート結果やECサイトのコメントなどから顧客のリアルな声を参考にし、品質・サービス改善に繋げています。
4-2. nosh(ナッシュ)
株式会社ナッシュが展開する「nosh」は、栄養管理士とシェフが監修した健康的に配慮した冷凍弁当を宅配するD2Cブランドです。
ECサイトと専用アプリでサービスを展開しており、省きたい食材を選べるフィルター機能や、糖分・塩分・カロリーなどを考慮して選べるメニューで、健康意識の高い消費者を中心に受注数を伸ばしています。
4-3. キリンホームタップ
キリンビール株式会社が展開する「キリンホームタップ」は、本格的な味を楽しめる生ビールサーバーを会員制で提供するD2Cブランドです。
ECサイトで、ビールサーバーが誕生したストーリーやクリーミーな泡の秘密、美味しい生ビールの注ぎ方などが丁寧に解説されており、ビール愛好家の心を掴む世界観を体現しています。
4-4. Mr.CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ)
「Mr.CHEESECAKE」は、パリのミシュラン料理店で修行した一流シェフが創業したチーズケーキのD2Cブランドです。
コロナ禍における「レストランの体験価値」を軸として、顧客が求める体験と向き合い、美味しさが的確に届くように商品を改良。
毎週日曜・月曜の午前10時から、ECサイトで数量限定で販売される商品はわずか5分で売り切れるほどの人気を誇っています。
4-5. Muscle Deli(マッスルデリ)
「Muscle Deli」は、管理栄養士やダイエットコーチが監修する、総勢50種類以上のメニューを選べる宅配フードサービスです。
人気メニューの見栄え・重要な栄養素がひと目でわかるECサイトのデザインになっており、消費者が抱える健康課題に合わせた4つのプランが展開されています。
コロナ禍における巣ごもり需要に合わせたサービスの提供で、2021年1月には前年比100%増加の売上を達成しています。
4-6. BASE FOOD(ベースフード)
「BASE FOOD」は、完全栄養食のパン・クッキー・パスタなどの加工食品を宅配する、食品系D2Cブランドです。
日々トレーニングに励んでいる人や、糖質制限中の食事に悩んでいる人などをターゲットとし、手軽に食べられる美味しい食品を提供することで、ブランドコンセプトに共感する顧客の獲得に成功しています。
4-7. 森山ナポリ
「森山ナポリ」は、石川県金沢市にあるピザ工房の窯焼きピザを宅配するD2Cブランドです。
森山ナポリおすすめの定番のピザを試せるおためしセットや、会員限定のチーズケーキセット、期間限定の単品メニューなどの提供で、新規顧客からリピート顧客まで幅広く獲得できる戦略で成功を収めています。
4-8. GREEN SPOON(グリーンスープ)
「GREEN SPOON」は、200種類以上の食材・フルーツ・スーパーフードを組み合わせ、消費者の健康課題にマッチしたスムージー・スープ・ホットサラダなどを提供するD2Cブランドです。
リーズナブルな価格帯から利用できる定期販売や、大切な人の健康を支援するギフトの配送、インフルエンサーとコラボとしたマガジンの配信などでファンを獲得しています。
4-9. Post Coffee(ポストコーヒー)
「Post Coffee」は世界中の人気コーヒーショップを含めた200種類のコーヒーから、ユーザーの飲み方・テイスト・頻度などにマッチした商品を宅配するD2Cブランドです。
ECサイトには、たった1分でできる無料のコーヒー診断機能が用意されており、30万通りの組み合わせの中からユーザーに最適なコーヒーを判定できます。2020年に日本サブスクリプション大賞を受賞した、お手本になる食品系D2Cビジネスモデルです。
4-10. THE ROAST BEEF(ザローストビーフ)
「THE ROAST BEEF」は、「世界一アガる!ローストビーフを。」をコンセプトとし、豪快な見た目のローストビーフやグリルチキンを提供するD2Cブランドです。
生産者の想いが伝わる商品開発ストーリーや、ローストビーフに合うアイテム探しの旅の様子をECサイトに掲載するなどして、消費者の興味関心を惹きつける取り組みを行っています。
4-11. ZENB(ゼンブ)
大手調味料メーカー「ミツカン」が展開する「ZENB」は、野菜スティック・野菜のペースト・豆100%ヌードルなどを提供するD2Cブランドです。
素材の芯や皮を可能な限り余すことなく使う食体験の提供で、フードロス問題の解決に貢献し、ブランドコンセプトに共感する顧客の囲い込みに成功しています。
ECサイトでは、アーティストの持田香織さんを起用したビジュアルとインタビュー記事の掲載で、独自の世界観を表現しています。
4-12. homeal(ホーミール)
「homeal」は、幼児食の課題である好き嫌いや栄養バランスに配慮した、美味しく食べやすい冷凍弁当を宅配するD2Cブランドです。
「野菜を摂る」「骨や歯を強くする」「免疫力アップ」など、目的に合わせて選べる豊富なメニューを用意することで、毎日の幼児食に悩むご家庭のニーズに応えています。
4-13. パンスク
「パンスク」は、毎月1回、全国どこかのパン屋から店舗自慢のパンが届くサブスクリプション型のD2Cブランドです。
パン屋を訪れた感動・幸せを自宅でも味わえるように、商品が届いたときに初めてどのお店から届いたのかわかるビジネスモデルになっています。
パンスクを楽しめる具体的なシーン、ユーザーのリアルな声をECサイトに掲載することで、消費者の購入意欲を刺激する工夫がなされています。
5. AnyMindが食品系D2CブランドのEC事業をサポート!
食品系D2Cブランドを展開する際、ブランドのコンセプト・世界観を体現したECサイトの製作や、顧客の囲い込み・ファン化を狙ったマーケティングを実施することが成功への鍵となります。
実際に多くのファンを獲得している食品系D2CブランドのECサイトでは、ブランドに愛着を持ってもらえる独自のコンテンツや、顧客ニーズを捉えた多様なサービスが提供されています。
「AnyMind Group」では、食品系D2CブランドのECサイト構築・運営・戦略立案・フルフィルメントまで幅広くサポートしています。
自社ブランドに最適なECプラットフォームの選定やリソースの最適化にお悩みの場合は、ぜひ「AnyMind Group」までご相談ください。
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