D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、メーカーやブランドが仲介業者を挟まずに直接商品を販売するビジネスモデルを指します。自社ECサイトを主軸にブランドコンセプトを体現したD2C特化のブランドは「D2Cブランド」とも呼ばれています。ブランドのコンセプトを直接消費者に伝えたり、顧客のデータや意見を回収しやすかったりする点、またShopifyやBASE, STORESなど自社ECサイト構築のハードルも下がったことから、近年急速に成長を遂げています。
マーケティングは領域が幅広く広義では商品開発なども含みますが、集客/CVR向上/リピート率向上のためのマーケティング施策としては、顧客と直接コミュニケーションがとりやすいSNSマーケティング施策が有効です。特に多くのD2Cブランドがメインターゲットとするデジタルネイティブ世代とも親和性が高く、効率的に商品を訴求することができます。
今回の記事では、D2CのSNSマーケティング施策について2022年2月時点における最新情報をご紹介します。
この記事でわかること
・D2CにおけるSNSマーケティングのポイント
・D2Cの具体的なSNSマーケティング施策一覧
・D2CのSNSマーケティング施策の成功事例
こんな方におすすめ
・自社ECサイト/D2Cブランドを運営している方
・これからSNSマーケティング施策に取り組む方
・自社EC運営におけるSNSマーケで課題を抱えている方
1. EC運営における「自社ECサイト(D2C)運営」の基礎
BtoCのビジネスモデルにおけるEC運営は大きく2つに分かれます。それぞれの違いと、D2C運営を成功させるために押さえておきたいKPIやSNSマーケティングの基本を解説します。
1-1. EC運営(BtoC)の方法は大きく2つ
EC運営(BtoC)の方法は「自社ECサイト(D2C)運営」「ECモールへの出店」の大きく2つに分かれます。
■自社ECサイト(D2C)運営
1つめは、自社ECサイト(D2C)運営です。メーカー/ブランド自身が自社ECサイトを立ち上げて、運営を行います。
小売店などの仲介料が発生しない分運営コストを抑えて利益率を高めたり、商品の値段を下げて競争優位性を高めたりすることができます。また、購入者の情報を取得してダイレクトにコミュニケーションをとれるため中長期的な関係構築がしやすかったり、お客様がECサイトを訪問してから購入に至るまでの一連の行動データを収集して改善に活かすことができるなどのメリットもあります。
一方で、ECサイトの構築や保守運用費用がかかる点や集客に至るまでに時間がかかってしまう点、物流管理などは自社で行う必要がある点は注意しましょう。
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Jan 4, 2022
■ECモールへの出店
2つめはECモールへの出店です。複数の企業が出店するショッピングモール型のECサイトへ出店します。代表的なECモールとしてはAmazonや楽天市場などがあります。
自社でECサイトを立ち上げる手間を省くことができたり、ECモール自体が集客力を持つためマーケティングにおける集客コストも削減できたりします。
ただし、売り上げに応じて利用料金が発生するため、中長期的に考えると自社ECサイト運営の方が高い利益率を見込むことができます。
1-2. SNSを中心としたD2C運営のキホン3つ
SNSを中心としたD2C運営の基本を3つご紹介します。
■ブランドコンセプト(価値観)への共感によるファン化
D2C運営の強みは、お客様へブランドのコンセプトや開発ストーリーなどを直接伝えることができる点です。
EC業界の発展により商品の選択肢が広がっている今、お客様が商品を購入する判断軸は多様化しており、メーカー/ブランドは単純な価格競争でだけでは勝ち残れないのが現状です。
そこで有効になる手段が、ブランドの価値観による差別化です。ブランドに込めた想いやこだわりをお客様にわかりやすく訴求することで、お客様の共感を呼びファンになってもらうことが重要です。
SNSは直接お客様へブランドの価値観を届けられるので、D2Cブランドを運営する上では必須のツールです。
■ファンをエンゲージメントし続ける仕組み(利益還元含む)
D2Cブランドは、実店舗を持たなかったり、仲介業者を挟まなかったりするケースが多く、低コストで運営することができます。
そこで重要になるのが、利益を顧客に還元し続けることでリピーターを増やすことです。
単純に価格を下げるのではなく、例えば商品の利用方法や応用方法を紹介するコンテンツを作成して顧客の体験価値を向上させたり、クーポン券を発行したり、商品開発にコストを投下し顧客の体験価値を向上したりすることが考えられます。
特にSNSでは顧客から生のフィードバックが得られるので、そうした施策の効果を得やすかったり、商品開発に顧客の生の声を取り入れやすいメリットがあります。
■盤石なフルフィルメントの構築
実店舗を持たないD2C運営事業者にとって、顧客との唯一のリアル接点は物流です。具体的には、商品受け取り/開封時、商品利用時です。
Amazonや楽天市場など大手ECモール、ヤマト運輸や佐川急便など大手配送業者のおかげで、日本の物流品質は他の先進国に比べても圧倒的に高くなっています。配送メール送付や配達状況確認などのカスタマーサポートも万全なうえ、翌日配送も当たり前となっています。
自社ECで同じような仕組みを整える場合、物流業務は倉庫業務や配送業務、カスタマーサポートなど複雑多岐に渡るため、それぞれの業者やシステムを選定するだけでもかなりの負担がかかってしまいます。適切に選定できたとしても、高い物流品質を維持できるような体制を築くのは容易ではありません。
物流業務にコストや人員を割くのではなく、商品開発など本質的な業務に注力できるよう、フルフィルメントサービスを検討するのもおすすめです。
1-3. 売上向上における3つのKPI
D2Cで売上を向上させるために、必ず押さえておきたい3つのKPIをご紹介します。
■集客数
まずは自社ECサイトにどれだけ集客できているかが重要なKPIとなります。具体的には「PV」「セッション」「UU(ユニークお客様)」などでそれぞれ指標を定めるのが基本です。
集客数が少ない場合には、短期施策のSNS/WEB広告、中長期施策のSEO施策・SNS運用などを強化しましょう。
■CVR
CVRはConversion Rateの略称でコンバージョン率とも呼ばれます。その名の通り、サイト訪問者がコンバージョンした割合となりますが、このコンバージョンの定義は各社異なっており、最もスタンダードなのが「商品購入ポイント」で、その他にも買い物かご追加や商品の問い合わせなどもコンバージョンポイント(マイクロコンバージョンポイント)として使用されています。
この数値を改善することで大きな売上向上が期待できます。逆にCVRが低いと、どれだけ集客できたとしても商品購入数は少なく、売上も少なくなってしまいます。穴の空いたバケツに水を注ぎ込んでいる、と言われる状態です。
もちろん、可能性としては集客しているお客様層が自社のターゲットお客様層からズレているということも考えられますが、自社ECサイト構築直後は、単純にお客様にとってサイトが回遊しづらく、欲しい商品を見つけるまでにサイトを離脱しているということが多いです。
サイトの表示速度の改善、ページの見やすさや購入ボタンまでの導線設計、商品説明、使用可能な決済方法などの見直しが有効です。
■リピート率
D2Cでは自分たちで自社ECサイトへ集客する必要があるため、新規顧客の獲得単価が高くなる傾向があります。また、ブランドのコンセプトが明確な分、集客できるターゲットも限られています。
そのため、既存顧客にいかにリピート購入してもらえるかが、D2C運営において非常に重要です。リピート購入している顧客の割合をKPIとしてトラッキングするようにしましょう。
自社ECサイトで販売されている多くの商品は消費財などで、通常は何度も購入するもので、世の中には競合する代替品が多く販売されています。もちろん商材にもよって異なりますが、リピートされていないほとんどの場合は、他社の商品を購入したと考えたほうが良いです。
自社の商品に満足してもらえなかったのか、購入時期ではなく代替品すら購入していないのか、単純に購買時に自社ブランドの存在を想起してもらえず他社の代替品を購入したのか、どこに原因があるのかの真因を知ることが重要です。
リピート率向上のためには、実際に自分で商品を購入して購買から商品利用までのフローを体験するのはもちろん、実際に購入者にアンケートに協力してもらい改善ポイントを探したり、SNSでのクチコミから使いにくい部分などを知りに行くこと、そしてそれらの中でイシュー度の高いものから改善していくことが必要です。
2. D2C運営のSNSマーケティングポイント
ECサイト運営で実施するようなWEBに特化したマーケティング施策をECマーケティングとも呼びますが、D2Cブランド運営ではSNSが重要な役割を持ちます。
そのため、D2Cブランド運営では、SNSマーケティングがECマーケティングの大半を占めると言っても過言ではないでしょう。
ここからは、D2Cブランド運営におけるSNSマーケティングのポイントや具体的な施策を解説します。
2-1. D2C×SNSマーケティングのポイント
■ブランドコンセプトの体現・統一感の醸成:「コト」「体験」「共感」によるファン化
D2Cでは、ファンは商品そのものよりも、ブランドや商品から得られる体験価値を重視しています。
例えば、顧客のファン化に成功している事例として、お菓子の定期購入サービスがあります。このサービスでは、お客様に「おやつ診断」を行ってもらい、診断結果に基づいて内容をカスタマイズしたお菓子を毎月届けています。さらに、お客様に「おやつの時間」をより楽しんでもらうことをコンセプトとし、ちょっとした読み物やSNSへの投稿用の背景素材を同梱しており、多くのお客様の心を掴んでいます。
このように、お客様はブランドに対して体験価値を求めているので、商品を一方的に打ち出すような宣伝色の強い内容は、SNSにおいて特に敬遠されがちです。
SNSへの投稿や広告配信時には、SNSやお客様の日常に馴染むコンテンツや広告バナーを作成する必要があります。ブランドのコンセプトを一貫してお客様に伝えられるように、配信内容のトンマナを統一しておくことも重要です。
■ユーザーフレンドリーな顧客体験(CX):データドリブンでCXを底上げ
自社ECサイトを通してお客様に直接販売するため、サイト訪問から購入に至るまでの全てのデータを収集することができます。D2Cブランド運営においては、この収集したデータをもとにどれだけ高速でPDCAを回すことができるかが大切です。
改善点を洗い出すときには、集客やCVR、リピート率などすべての顧客行動フェーズに対して問題がないか細かく調べる必要があります。
例えば、集客やリピートフェーズであれば各集客・リピート施策を再評価したり、CVRであればLPO(ページの最適化)やレコメンド機能の実装、商品が探しやすい設計になっているかなどを検証したりするのが基本です。
このように緻密な検証を継続しつづけることで、高い顧客体験を提供することができます。
■UGC(クチコミ)の活用:タグる世代の拡大
UGCとは「User Generated Content」の略で、お客様が作成したコンテンツを指しますが、主にSNSマーケティングではクチコミを意味します。
「タグる」という単語が話題になりしばらく立ちますが、タグる世代は増え続けており、さらに若者だけではなく一般お客様もSNS検索を利用しています。InstagramやTwitterではハッシュタグをつけた投稿が活発に行われており、お客様はこのハッシュタグを使って欲しい情報を調べる「タグる」手法が主流になりつつあります。ハッシュタグを使った投稿を増やすことで、お客様の検索に引っかかりやすくなります。
また、第三者という客観的な立場から発信された情報なので、企業が発信するよりも信憑性を獲得しやすい特徴があります。SNSに投稿されたクチコミを参考に商品を購入する人も急増しており、UGCの重要性は以前よりもさらに増しています。
加えて、各SNS上で公式アカウントを作ることも重要です。実店舗の場合、Googleマイビジネスに登録すればGoogle Map上に店舗が表示されるように、各種SNS上に公式アカウントを作ることでお客様が発見しやすくなります。機会損失を減らすことができるので必ず作成し、日々運用も忘れないようにしましょう。
■SNSの見極めとリッチコンテンツ(画像, 動画):トレンドの変化とSNS利用目的の多様化
最近、SNSではテキストのみの投稿より、画像や動画を使った投稿の方が見られやすく(インプレッションが稼ぎやすい仕組み)なっています。
Instagram Stories/RealsやTikTok、YouTube ShortなどさまざまなSNSで動画が爆発的に流行っていることからも、今後はリッチコンテンツを活用したマーケティングが主流になるのは明らかです。
さらに、SNSの利用目的の多様化も進んでいるため、投稿内容に合わせてSNSを選択しなければいけません。
最近FacebookのDAUが減少していると発表されましたが、例えば、ビジネスマン向けの投稿をするのであればTwitter、デジタルネイティブ世代むけの投稿をするのであればInstagramなど、対象になるターゲットとその利用用途が自社で訴求したい内容とマッチしているSNS×投稿タイプを選びましょう。Twitterであればテキスト主体、Instagramであれば画像や動画主体など媒体の特性に合わせた投稿が有効です。
■ソーシャルリスニング:タッチポイント全てがダイレクト接客
D2Cでは仲介業者を挟まないため、お客様の生の声を直接聞くことが可能です。
SNSの公式アカウントに寄せられた意見やエゴサーチなどでお客様の生の声を集めることで商品や施策の改善点を見つけることができます。
SNS上で双方向のコミュニケーションをとることで、お客様のロイヤリティを向上させる効果も期待できます。
2-2. D2CブランドのSNS/WEBマーケティング5選
D2Cブランドの主なSNS/WEBマーケティング施策は以下の5つに大別できます。どれか1つで完結するのではなく、複数の施策を組み合わせる必要があります。
・SNS公式アカウント運用
・インフルエンサーマーケティング
・広告配信(SNS/WEB)
・WEBマーケティング
・CRM運用(SNS/メール/梱包など)
3. D2C運営の「SNS公式アカウント運用」
D2Cブランド運営においては、SNSで公式アカウントを運用することで、直接お客様と繋がることができ、集客やファン化によるリピート率向上などさまざまなメリットが得られます。
ここからは、運用時のポイントや各SNSの具体例をご紹介します。
3-1. D2C×SNS公式アカウント運用のポイント
D2Cブランド運営においてSNS公式アカウント運用のポイントは大きく5つあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
■SNSアカウントごとの役割を明確にする
複数のSNS公式アカウントを運営する場合には、アカウントごとに役割を明確にする必要があります。
アカウントごとに、告知用アカウントなのか、あるいは利用者とのコミュニケーションを図るためのアカウントなのかなど役割を明確にしておかないと、お客様の混乱を招いてしまいます。
明確に役割を分けて運用することで発信内容にも統一感が出るため、よりお客様のファン化にも繋がりやすくなります。
■フェーズごとに目的とKPIを明確にする
SNSの運用でよくある課題として、目的やKPIが曖昧なまま進めてしまうことがあげられます。運用を始めたはいいものの、何を軸に効果測定すれば良いのか分からず、とりあえずフォロワー数をKPIに置いている方も多いのではないでしょうか。
もともと知名度がありファンが付いている且つそのファン層がアカウントを作成したSNSの利用者層と被っている場合を除き、アカウント作成初期からフォロワー数がぐんと伸びることはほとんどありません。SNS運用の目的は売上向上や認知拡大などさまざまですが、サービスの拡大フェーズに合わせて設定すると良いでしょう。
目的が定まったら、目的の達成度を測るKPIを設定します。KPIは定期的にチェックする必要があるのでインプレッション数やフォロワー数などすぐに計測できる値にすることがおすすめです。
■CRM連携でチャットコマースへ
各SNSをCRMと連携することで、自社ブランドに対するSNS上の投稿を計測したり、CRM内のデータを用いてセールス活動をしたりすることができます。
これにより、ネガティブな投稿への迅速な対応やCRM内にある購買データに基づいたクーポン配布などが可能になります。
特にSNSのアカウントに多くのフォロワーがいる場合には、CRMと連携させることでECサイトへの集客拡大にも期待できます。
■ソーシャルコマースへの展開
ソーシャルコマースとはSNS完結で購入までできる仕組みを指します。
従来、SNSは認知拡大など集客のために運用されていましたが、SNSへのショップ機能の追加やライブコマースなどの発達により、販売チャネルとしても重要な役割を持つようになっています。
また、InstagramのShopNowなど投稿された商品画像をタップするだけで購入できる機能もあるなど、決済までの流れが自社ECサイトよりシンプルであることも多いです。そのため、ECカートに入れたまま購入されない「カゴ落ち」も起きにくく、販売機会の損失が起きにくいというメリットがあります。
そのほか、Shopifyでは在庫連携も可能であり、今後もますますSNSはシステム連携の流れが広がり、販売チャネルとして成長していくことが期待できます。
■すぐに結果は出ない。長期的な運用を
SNS運用はすぐに結果が出るものではありません。長期的な運用になることを見越して、フェーズごとにKPIを定めることがSNS運用を成功させるポイントです。
時間はかかってしまいますが、成功すれば広告よりも効率よく集客することができます。根気強く運用しつづけることが重要です。
3-2. D2C×公式アカウント運営で選ばれているSNS例
D2Cの公式アカウント運営で活用されているSNSをご紹介します。
■LINE
国内で最大級のユーザー数を誇るLINEは、公式アカウント運営でよく選ばれているSNSの1つです。NTTドコモが2021年1月に実施した「2021年一般向けモバイル動向調査」によると、国内のモバイルユーザーのうち81.1%がLINEを利用していることがわかっています。多くのユーザーと接点を持つにはLINEがおすすめです。
また、LINEはブロックされない限り、メールよりもはるかに高い確率で開封されます。メールでキャンペーン情報など緊急性の高い情報を送っても、開封されなければ利用されないまま有効期限が過ぎてしまいます。
一方でLINEであれば、情報を発信するとお客様にはプッシュ通知が届くので、発信後の比較的早いタイミングで開封されます。
さらにクーポン券も送ることができるため、おすすめ商品情報とあわせて送るとお客様に商品の購入を促すこともできます。
Instagramは商品画像や使用イメージの動画を投稿することで、ユーザーに対して視覚的に訴求することができます。投稿内容に統一感を持たせることでブランディングにも有効なSNSの1つです。
ShopNowというショッピング機能が搭載されたことで、お客様が商品画像をタップするだけでECサイトの対象商品ページに遷移して商品を購入できる仕様にもなっています。これにより、カゴ落ちなど離脱のリスクを抑えることが可能です。
アメリカでは日本に先んじてアプリ内決済機能の実装も進められており、近々日本でも、お客様がアプリ内で気に入った商品を購入(決済まで)してもらえるようになる可能性が高いです。
Twitterは、ユーザー主体の情報発信が活発に行われていることから、お客様も気軽に公式アカウントへメッセージを送ることができます。
相互にコミュニケーションが取れるため、お客様からの質問やクレームに対して直接対応することができ、信頼感を獲得しやすくなります。
また、Twitterの特徴でもあるリツイート機能によって拡散されれば、多くのお客様に認知されるバズ効果(相乗効果)も期待できます。
■YouTube
回線の高速化やスマートフォンの普及により、テキストや画像主体のコンテンツから動画主体のコンテンツが視聴される傾向になりつつあります。
それに伴い、動画メディアが商品の販売チャネルとして急拡大しており、中でも国内最大級の動画メディアであるYouTubeはめざましい成長を遂げています。お客様にとってニーズのある情報を定期的に発信し続けることで、コアなファンを獲得することができます。
商品紹介動画とともに商品の購入リンクを貼ることで、利用イメージを明確に持った購買意欲の高いお客様を自社ECサイトへ誘導することが可能です。
FacebookはTwitter同様に拡散性が高く、お客様と相互にコミュニケーションが取りやすいSNSです。
さらに、匿名性の高いTwitterと比較すると、Facebookは実名ユーザーが多くユーザーは主に知人をフォローする傾向があるため、信頼性のある情報として拡散されやすいメリットがあります。
またFacebookは広告の種類も豊富であり、フェーズや予算に応じた広告を配信することができます。広告代理店へ委託する企業も多いですが、少額で出稿することもできるため自社で運用することも十分可能です。
■TikTok
利用ユーザーの多くが10代から20代に集中しているため、他のSNSと比較すると企業アカウント数が少ないことから参入障壁が低い点が特徴です。
世代は集中しているものの、ブランドのターゲットが10代〜20代である場合には競合他社も少ないため、差別化ができます。動画投稿型SNSという特性を活かして、より効果的に動画広告を訴求できる点もメリットです。
ただし、企業の広告感のあるコンテンツは現状流行っておらず、エンゲージメント率が低くなる可能性もあり、TikTokの仕様的にそうしたコンテンツはインプレッション数(おすすめ表示回数)が稼げないため、コンテンツの見せ方には注意が必要です。
4. D2C運営の「インフルエンサーマーケティング」
これまで解説した通り、D2Cブランド運営はSNSマーケティングと相性が良いです。一方で、アカウント開設後しばらくの間はフォロワー数が少なく、すぐには効果が出ないデメリットもあります。
そこで、ブランド/商品の認知獲得、UGCの創出、フォロワーを増やすために有効なのがインフルエンサーを起用したマーケティング手法です。芸能人を起用したテレビCMがマスマーケティングとして王道ですが、簡単に言うとインフルエンサーを起用したSNSでの露出がインフルエンサーマーケティングです。
ここからは、インフルエンサーマーケティングのポイントと具体的な施策例についてご紹介します。
4-1. D2C×インフルエンサーマーケティングのポイント
D2Cブランドのインフルエンサーマーケティングのポイントは以下の6点があげられます。
■キャンペーンの目的と利用するSNS・投稿タイプがマッチしているか
インフルエンサーマーケティングでは、キャンペーンの目的を明確にし、目的に合うSNSと投稿タイプを選択することが重要です。
例えば、ライブコマース機能を利用すれば商品理解の訴求、Instagramのストーリーとフィード投稿であればエンゲージメント向上、Twitterであればリツイート機能によるバズ拡散など、SNSと投稿タイプによって狙う効果は異なります。
例えば、ライブコマース機能を利用すれば商品理解の訴求、Instagramのストーリーとフィード投稿であればエンゲージメント向上、Twitterであればリツイート機能によるバズ拡散など、SNSと投稿タイプによって狙う効果は異なります。
■起用インフルエンサーのSNSアカウントリーチ層と自社ターゲット層がマッチしているか
起用インフルエンサーのSNSアカウントのフォロワー層と自社のターゲット層がずれてしまうと、キャンペーンの効果は低減してしまいます。インフルエンサーを選定するときには、実際のフォロワー属性を必ず確認するようにしましょう。
例えば、ターゲット層と同じ性別/世代のインフルエンサーを起用してもフォロワーは別の性別/世代である可能性もあります。女性用コスメをPRする場合、ターゲット層とマッチしているインフルエンサーを起用したものの、実際にそのインフルエンサーのSNSアカウントのフォロワー層は9割が男性だった、ということはよくあります。
また、フォロワーの数が多いインフルエンサーの中には、お金を支払ってフォロワーを集める「フォロワー買い」のケースもあるので注意しましょう。
■KPIは計測可能な指標を設定しているか
インフルエンサーマーケティングの効果を計測するためにKPIを決めておきましょう。KPIを設定しないと、施策の結果が曖昧になってしまい、継続すべきかの判断や改善点の発見も難しくなってしまいます。
SNSや投稿タイプにも寄りますが、エンゲージメント率やリーチ数、再生数などをKPIにするケースが多いです。SNSや投稿タイプにも寄りますが、エンゲージメント率やリーチ数、再生数などをKPIにするケースが多いです。
■購入までの導線設計はスムーズか
購入意欲の湧いたユーザーがストレスなく買える導線であるかは購入率を大きく左右します。インフルエンサーの投稿を見て商品に興味をもってもらえても、商品への導線がなかったり購入までにページ遷移が多かったりすると、購入率は大きく下がってしまいます。
これもSNSと投稿タイプによって様々ですが、例えばInstagramのストーリー投稿であれば、投稿にURLを紐付けておくことが出来ます。従来公認バッジを付与されていたり10,000フォロワー以上のアカウントしかこの機能を使えなかったのですが、今では全アカウントにて利用できるようになっています。
■アーカイブは残せるか
アーカイブとは一定時間が経過すると消えてしまう投稿を保存することができる機能です。例えば、Instagramのストーリーで商品紹介をしたとしても、通常であれば24時間経過すると自動的に投稿が表示されなくなってしまいます。
アーカイブ機能を使うことで、表示されなくなった後に再度シェアすることが可能です。ハイライト機能も使ってプロフィール欄に表示させると、継続的な流入効果が期待できます。
■インフルエンサーのディレクション
近年では景勝法が厳しくなっており、誇大に効果を表現したり、商品の成分を誤って伝えたりすると、罰則の対象になってしまうリスクがあります。キャスティング時にディレクションをしっかり行わないと、意図しない形で投稿される事態にもなりかねません。
万が一誤った情報を発信してしまうと、信用の喪失にも繋がってしまいます。起用するインフルエンサーには正しい商品知識を伝えて、投稿時のルールを徹底してもらうようにしましょう。責任は広告主であるブランドに問われます。
4-2. D2C×インフルエンサーマーケティングの施策例
D2Cブランドにおけるインフルエンサーマーケティングの施策例を5つご紹介します。
■投稿型(ギフティング型)
自社製品をインフルエンサーに無料で提供し、SNSで実際の使用感などを投稿してもらう方法です。
投稿内容は様々で、広告主であるブランドがどうディレクションするかにも寄りますが、テキストはブランドが作成した定型文を投稿してもらうより、ある程度言及点は指示しつつもスタンスはインフルエンサー自身にお任せする方が、そのインフルエンサーの世界観にもマッチしてフォロワーもより親身に感じるため推奨されています。、フォロワーにとっては通常の広告よりも信憑性があり、商品に対して自然に興味を持ちやすいメリットがあります。
■動画投稿型
インフルエンサーに自社製品についての紹介動画をSNSで投稿してもらう方法です。
文字だけの投稿よりも動画による投稿の方が視覚的にも商品の魅力が伝わりやすいため、商品体験型コンテンツを発信する場合にはおすすめです。
具体例としては、YouTubeでのタイアップ広告があげられます。
■ライブコマース型
ライブ動画配信サービスを利用して、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションをとりながら商品をPRすることで、購買を促進する方法です。
視聴者が商品について質問を投げかけると、配信者がその場で回答するため、お店の店員と話すような感覚でショッピングを楽しむことができる点もメリットです。
また、ライブコマースは時間を指定して行うのが一般的なので、わざわざ時間を合わせて視聴するくらいそのインフルエンサーのファンである可能性が高く、そのインフルエンサーの紹介する商品への信頼度も上がり、且つ使い方も勉強できるためより購入後の使用感を想起して購買にも繋がりやすいという特徴があります。
Instagramなど、ライブ動画はアーカイブとしてフィード投稿などとしても残しておけるため、ブランドの公式アカウントとインフルエンサーアカウントと共同でライブ配信を行うことで、公式アカウントからの導線を作成することもできます。
■キャンペーン型
ユーザーの閲覧やいいね/リツイート、ハッシュタグ投稿を促すようなキャンペーンを打つことで、エンゲージや認知拡大を狙う方法です。
TikTokやSnapchatのような短い動画を投稿するSNSの場合、短時間で次々と動画が視聴される特徴があり拡散性が高い点もメリットです。
Twitterでの投稿型と組み合わせることで、1キャンペーンで多数のUGCを創出することもできるため、特に企画力が問われるタイプとなっています。
■コラボ型
コラボ企画として、影響力のあるインフルエンサーとオリジナルの商品を開発したりするタイプです。特にインフルエンサーと共同で商品開発を行うと、ファン層の獲得/認知拡大に繋がるため大きな効果が期待できます。
5. D2C運営の「広告配信」
D2Cブランドの広告配信はSNS広告やWeb広告を利用するのが一般的です。一方で、年々高騰する広告費に悩まされる担当者の方も多いのではないでしょうか。
ここからは、D2Cブランドの広告配信について押さえるべきポイントをご紹介します。
5-1. D2C×広告配信のポイント
D2Cブランドの広告配信のポイントは4つあります。
■企業の広告感を出さない
SNS利用ユーザーはコンテンツを楽しむためにSNSを利用しているため、SNSでは広告感の強いコンテンツは好まれません。
既存顧客への情報提供の目的で運営するアカウントであれば広告感があっても敬遠されませんが、一般的には他のお客様の投稿内容に馴染むような、ブランドコンセプトを体現したコンテンツにするようにしましょう。
■UGCを二次利用
UGCは第三者からの感想なので、企業が発信するよりも共感や信頼を得やすいです。一般ユーザーの投稿で、自社ブランドについて高評価をしているものがあればリツイートなどの拡散機能を利用すると効果的です。
ただし、無許可で拡散すると後で思わぬトラブルに繋がる可能性もあるため、事前に投稿ユーザーへの許可を取るようにしましょう。自社商品を投稿しているユーザーはファンである、もしくは今後ファンになってくれる可能性の高いお客様なので、今後インフルエンサーマーケティングとして新商品の非公開レビューや、新商品発売時などにギフティングなどを行い、積極的に投稿してもらえるように関係性を構築しましょう。
■起用インフルエンサーのクリエイティブを二次利用
起用インフルエンサーが作成したクリエイティブを自社で広告などに二次利用する方法です。こちらもUGCの二次利用と同じですが、この二次利用をインフルエンサー起用の際に最初からパッケージとして含んでおくことが重要です。
企業主体で配信する広告よりも、インフルエンサーが実際に投稿したコンテンツをもとに配信したほうが宣伝色が薄れるため効果が出やすいです。一方で、インフルエンサーに無断で二次利用することは肖像権の侵害にもなりかねないので必ず二次利用の交渉をするようにしましょう。
■マルチチャネルでの集客
複数のチャネルでそれぞれの特性を活かしたマーケティングを行うことで、単純接触効果により自社ブランド/商品を効果的に訴求することができます。1つのチャネルに偏る場合と比べて、多角的に顧客へ訴求することができるので、新規顧客の獲得や売上拡大につながりやすいです。
さらに、チャネルごとに分析を行うことで、改善点が見えやすくPDCAを回しやすい点もメリットです。
5-2. D2C×広告配信の例
D2Cブランド運営でよく利用される主な広告配信は5つあげられます。
■SNS広告(SNSのフィード面などへの広告表示)
FacebookやInstagramなどのSNSに出稿する広告です。マス広告と比較すると出稿するために必要な最低料金が低く、小規模な会社でも取りみやす点が特徴です。動画や静止画、位置情報を利用した販促目的の広告など、さまざまな広告メニューから目的に適したものを選ぶことができます。
InstagramやTwitterなどのフィードに表示される広告は「フィード広告」、YouTubeなど動画配信の最初や途中に再生される広告は「インストリーム広告」と呼ばれています。
SNSごとに効果の出るクリエイティブは異なり、UGCの二次利用が効果的なのもSNS広告です。
■リスティング広告(検索結果画面への広告表示)
ユーザーが検索したキーワードに連動して検索結果に掲載される広告です。ユーザーは興味関心度が高いときに検索を行い、その検索結果に表示されるので、コンバージョンに繋がりやすいメリットがあります。コンテンツとして利用できるのはテキストのみとなっています。
国内ではGoogle広告とYahoo!広告が主流で、最初はGoogle広告のみ、なれてきたら両方を組み合わせて運用するケースが多いです。
予算が限られている場合には、検索エンジンのシェアの8割を占めるGoogle広告から始めるのがおすすめです。
■ディスプレイ広告(ウェブサイトの広告枠への広告表示)
広告掲載枠があるWebサイトに表示される広告です。コンテンツとして利用できるのは、画像・動画・テキストになっており、複数要素を登録しておくと自動的に最も効果の高い組み合わせに最適化してくれる広告プラットフォームが増えています。主に認知獲得やリタゲ目的で使用されることが多いです。
最近では静止画動画とテキストを組み合わせた「レスポンシブ広告」が効果がよく主流となっていますが、バナーで表示されることも多いため、「バナー広告」とも呼ばれます。
配信面としては、AdSenseやGoogle Ad Managerなどの媒体側(パブリッシャー側)収益化プラットフォームが実装されている全ウェブサイトが対象となっており、ウェブサイトに訪問した全てのユーザーに表示されるため、潜在顧客にも広く訴求することができます。
ウェブサイト側で用意されている広告枠は、PCでもスマホでも300×250pxの「レクタングル」が多いため、バナーだけ表示させたい場合はレクタングルサイズ、レスポンシブ広告を利用する場合は320×180pxの「モバイルビルボード」と呼ばれるサイズを用意している広告主が多いです。
■リターゲティング広告(特定ユーザーに対してのみ広告を表示する配信方法)
一度ウェブサイトに訪問したユーザーに対して、サイト離脱後にも追跡して配信する広告です。サイトに訪問したものの商品を購入しなかったユーザーに対して、再度自社ブランド/商品を訴求する広告を配信することができます。
すでに商品に対して一定の関心がある顧客に絞って広告を表示できるため、高いコンバージョン率が期待できます。SNS広告やリスティング広告、リターゲティング広告と組み合わせて使用します。
■アフィリエイト広告(クリックやコンバージョンに対して報酬を支払う形態)
広告主がアフィリエイター(媒体主)のメディアに商品リンクを貼ってもらい、クリックやコンバージョンに応じて報酬を支払う形態です。アフィリエイターは個人だけでなく企業であるケースも多く、膨大な数のアフィリエイターと広告主が直接契約を結ぶことは効率的ではありません。
そのため、仲介者として存在しているのがASP(アフィリエイト サービス プロバイダー)です。広告主は商品をASPに登録し、アフィリエイターはASPに登録された多くの商品の中から紹介したい商品を選択します。その後、アフィリエイターが所有するSNSやWebサイトで商品のリンクを貼り、発生したクリックやコンバージョン数に応じて、ASPを介して広告主からアフィリエイターに報酬が支払われる仕組みです。
国内で有名なASPとしては「A8.net」「アクセストレード」などがあげられます。登録するASPの数を増やしてもCV数はあまり変わらない傾向があるので、まずはこのような大手ASPのうち1〜2社に登録するのがおすすめです。
D2Cブランドのアフィリエイト広告の提携先としては、TwitterやInstagramなどのSNSのほか、個人ブログなどで口コミとあわせて紹介してもらう方法が有効です。
6. D2C運営の「WEBマーケティング」
D2Cブランドの広告配信以外のWebマーケティング施策について解説します。
6-1. D2C×WEBマーケティングのポイント
D2CブランドのWebマーケティングのポイントは大きく2つあります。
■CVポイントに近いところから改善する
利用できるデータは多いですが、データを収集しても、課題を見つけて最適な改善点を策定し、さらにすべてを一度に改善するのは困難です。D2Cブランドではマルチチャネルで集客を行うことが多く、チャネルごとに特性は様々で、さらに各チャネルごとに異なった指標が利用されていたり、さらに自社ECサイトを活用しており分析に利用できるデータ量が多くあるからです。
Google Ads, Facebook Ads, Instagramインサイト, Twitterインサイト, LINE, Google Analytics, ECプラットフォーム(Shopifyなど)などなど、基本的なプラットフォームだけ記載してみましたが、それぞれ膨大な量のデータが活用できます。
思うように成果が伸びない場合には、まずはCVポイントに近いところから改善するのがおすすめです。どんな商材を取り扱っているとしても、最初に改善を進めたいのはCVRです。
CVまでの導線設計や表示内容がわかりやすいかなど、他社事例を参考にアタリをつけることが非常に重要です。アタリをつけてデータを絞って分析し、原因を探り、改善を進めることで効果が出やすくなります。
■ユーザーフレンドリーなUI/UX
ユーザーにとって使いやすいUI/UXであるかどうかは、離脱率やコンバージョン率を左右する要因の1つです。
年々サイトの数は急増しているため、スムーズに商品が比較/購入できないサイトはユーザー離れが起きてしまいます。特にページスピードは基本的ですがユーザーの離脱率に直結するため重要です。
ユーザーフレンドリーなUI/UXにすることで、お客様に快適にショッピングを楽しんでもらうことができ、売上拡大が期待できます。
6-2. D2C×WEBマーケティングの施策例
D2Cブランドの広告配信以外のWEBマーケティングについて具体的な施策例をご紹介します。
■D2Cブランドの広告配信以外のWEBマーケティングについて具体的な施策例をご紹介します。
ユーザーが最初に訪問するランディングページ(LP)を改善することで、コンバージョン率を大幅に改善することが可能です。広告や検索エンジンからサイトに訪れたユーザーは、関心度合いもさまざまです。ユーザーの興味関心に合わせて複数LPの中から最も適したLPを発見することも重要です。
また、幅広いニーズに応じて必要な情報を提供することで、お客様のモチベーションを高めて商品購入まで誘導することができます。
商品紹介のコンテンツが十分に魅力的な内容であるか、購入ボタンの位置や表示が適切であるかなど丁寧に改善点を洗い出しましょう。ヒートマップを利用して、ユーザーがどこをクリックしているか、どこまでスクロールしてから離脱しているかなど地道な分析改善が必要です。
■サイト内機能の拡充(CVR向上、リピート率向上)
自社ECサイト内の機能を拡充することでユーザビリティを上げ、コンバージョンに結びつきやすいサイトにすることができます。
具体的なサイト内機能を3つご紹介します。
・商品レコメンド機能
おすすめの商品や購入商品と関連性のある商品を表示する機能です。お客様のついで買いやリピート購入を促すことで、購入単価の向上やリピーター獲得効果が期待できます。
・SNSビュワー機能
SNSの公式アカウントの投稿や、許可を取ったUGCを自社ECサイトに表示する機能です。特にアパレルD2Cなど、実際に商品をどうコーディネートしているのか、どう着こなしているのかなど、購入後の使用イメージが湧くと商品への購入意欲も変化します。
SNSのUGCを自動で表示できるようにしておけば、購入後のイメージを醸成してCVR向上に繋げやすくなります。SNSの中でも特にInstagramとの連携が多いです。
・レビュー機能
実際に商品を購入したお客様のレビューを掲載できる機能です。購入前のユーザーは、商品比較の際に実際のレビューを参考にする傾向が強いため、高い呼び込み効果が得られます。
購入者へのレビュー依頼の特典として次回購入で使用できるクーポンをプレゼントして、レビュー数の拡充とリピート率の向上へ繋げられる施策が効果的です。
・決済連携
コンビニ決済や銀行払い、クレジットカード決済など複数の決済サービスを連携させることで、お客様の幅広いニーズに応えることができます。
日本の決済方法ではBNPLが16%、銀行送金が8%を占めています。
1位 | 58% | クレジットカード決済 |
---|---|---|
2位 | 16% | 後払い(BNPL) |
3位 | 8% | 銀行送金 |
4位 | 7% | モバイル決済 |
by THE GLOBAL PAYMENTS REPORT 2021 | FIS
お客様が求める決済機能がないことで思わぬ販売機会の喪失につながらないよう、決済サービスは複数連携しておく方が望ましいです。
■カゴ落ち対策(CVR向上、リピート率向上)
商品をカートに入れたままサイトから離脱してしまうカゴ落ちは機会損失の大きな要因の1つです。カゴ落ちの原因は複数ありますが、カートに入れたものの購入する気になれなかったケースや送料や手数料の高さで購入をやめてしまうケースが多いです。
一度離脱してしまったお客様に対して通知を送ったり、再訪を促すような広告を配信したりなどの対策を打ちましょう。
■コンテンツマーケティング(集客、CVR向上、リピート率向上)
オウンドメディアやSNSなどを活用して、ブランドの価値観やお客様に役に立つコンテンツを発信することで、ユーザーのエンゲージメントを向上させ、さらに閲覧コンテンツによって最適なコンテンツを追加でレコメンドすることで購買に繋げる施策です。
コンテンツSEOとして良質なコンテンツを作成することで、ウェブ検索時に検索結果に上位表示させて事前流入数を増加させることができ、発信するコンテンツ自体のファンになってもらえば、SNSのフォロワー数増加や再訪/リピート率を上げることにも繋がります。
■SEO対策(集客)
自社ECサイトが検索結果の上位に表示されるようになることで、潜在顧客まで集客できるので大幅な売上改善効果が期待できます。ただし、根気よく改善を継続する必要があり効果が出るまでには時間がかかります。
検索結果で上位表示されるためには、Googleの検索エンジンにお客様にとって有益なサイトとして高評価を受ける必要があります。Googleの検索エンジンの評価基準は明らかにはなっていませんが、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすること」をミッションとしているため、お客様が求める情報を発信することや、ユーザビリティの高いサイト設計にすることがSEO強化に繋がります。
また、ECサイトであればテクニカルSEO対策として、
①Google Merchant Centerへの登録
②下記の構造化データのマークアップ
③GoogleのUX評価用指標コアウェブバイタルズ(CWV: Core Web Vitals)
への対策しておきましょう。
②構造化データ
・商品
・レビュースニペット
・パンくずリスト
・FAQ
③Core Web Vitals
・LCP(Largest Contentful Paint)
読み込みまでの速度
・FID(First Input Delay)
操作の応答性
・CLS(Cumulative Layout Shift)
視覚的な安定性
特にCWVのCLSに関しては、画像やボタンなどの要素へのheight設定などが必要です。
7. D2C運営の「CRM運用」
既存顧客のリピート購入率向上やクロスセルを狙うならCRM運用が有効です。CRMは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、その名の通りお客様の行動や購入履歴データなどを管理し、活用するための方法です。
システムとしてECプラットフォームと接続しデータを一元管理できるものが主流で、最近では各コミュニケーションツールとしてメール送信システムや各SNSと連携して、そのままリッチメッセージを送れるものが多数出てきています。
ここからはD2CブランドのCRM運用のポイントや具体的な施策例を解説します。
7-1. D2C×CRM運用のポイント
D2CブランドのCRM運用のポイントは2つあります。
■商品閲覧履歴、購買情報など顧客管理を徹底
商品閲覧履歴や購買情報などの正確なデータを収集することで、お客様ごとのニーズ分析が実施しやすくなります。各ユーザーにカスタマイズされたおすすめ商品の表示などを行うことで新たな販売機会の獲得に繋げることができます。
■リピート率の向上に繋げる
顧客データは管理するだけでなく、いかに売上に繋げるかが重要です。CRMに蓄積されたデータを分析して、有効なアクションをとるようにしましょう。
7-2. D2C×CRM運用の施策例
D2CブランドにおけるCRM運用の施策例をご紹介します。
■メルマガ配信
D2Cブランドのメルマガでは、販促目的のキャンペーン情報だけでなく、お役立ち情報などを発信してお客様との関係性構築を図るパターンも多いです。特にブランドの世界観が確立されたD2Cブランドでは、お客様のニーズも推察しやすいので、多くのお客様に共通するお役立ち情報を発信しやすいです。
上述したとおり、最近では各SNSと連携できる「チャットコマースプラットフォーム」が増えています。メルマガはメールマガジンの略ですが、最近ではメールだけではなくチャットコマースとして、LINEやその他SNSでのチャットを活用したメルマガ配信が活発になっています。
■カスタマーサポートツールとしての活用
お客様からの問い合わせ対応の方法も多様化しています。以前はメールや電話での対応が主流でしたが、今はCRMとSNSとの連携でチャット内容を一元管理できるようになったため、カスタマーサポート窓口としてSNSを活用することが増えています。
特にLINEが活用されていることが多く、ユーザーからの問い合わせハードルを下げられるだけではなく、公式アカウントの友達登録者数を増やし、新商品発売のお知らせの送付などハウスリストとしても活用できます。
■クーポン券
顧客ごとに最適なクーポン券を配布することで、既存顧客だけでなく休眠顧客の購入を促進することができます。
むやみに全員に一斉配布するのではなく、分析を行って特定ユーザー層にのみ配信することで効果を高められます。カゴ落ちユーザーや自社コンテンツをよく見てくれているユーザー、以前はよくリピートしてくれていたが一定期間ウェブサイトへの訪問がないユーザー層など、色んなパターンを試してみましょう。
■オリジナル梱包資材の作成・同梱物のカスタマイズ
商品の同梱物カスタマイズやオリジナル梱包資材の作成も、D2Cブランドにとって非常に重要です。
多くのD2Cブランドが店舗を持たず顧客との接点はオンラインのみなので、商品受け取り時、開封時、商品利用時は唯一できる顧客とのリアル接点となります。みなさんも経験があると思いますが、商品を受け取り、開封して、実際に商品を利用するときが最もポジティブな印象を抱いていると言われてます。
ポジティブな感情の商品開封時にブランドコンセプトを体現したパッケージが目に入ると、ブランド/商品に対してさらにポジティブな印象を抱いてもらえる可能性が高いです。店舗販売をしているブランドや規模の大きいD2Cブランドであれば既にオリジナル梱包資材を作成していることが多く、新興D2Cブランドの場合は作成まで手が回っていない場合が多いですが、早い段階で作成しておく方が、SNSでの拡散やリピート率の向上により、結果的にLTV向上でリターンの方が大きくなります。
また同梱物に関しても、商品の開封時にほぼ間違いなく目に止まるので、顧客のニーズに合わせたコンテンツを同梱することで強くコンテンツを訴求することができます。特に定期購入の場合には、継続的にタッチポイントが作れるので大きな効果が見込めます。
8. SNSマーケティング成功事例3選
最後にD2CブランドのSNSマーケティング成功事例を3つご紹介します。
8-1. COHINA:ライブ配信
身長155センチ以下の小柄な女性をターゲットにするアパレルブランドCOHINAは、Instagramで毎日ライブ配信を行うことでリピート率50%を達成しています。
Instagramのフォロワー数は2022年2月時点で23.7万人を突破し、多くのファンを獲得しています。
8-2. BASE FOOD:UGC活用
完全栄養食のパンを発売するBASE FOODは、Instagramの公式アカウントやサイトにUGCを掲載することで1.24倍ものCVR改善に成功しました。利用イメージを伝えることで、新しいコンセプトの商品でも受け入れられやすくなることを証明した事例です。
8-3. Koala Sleep Japan:インフルエンサーマーケティング
オーストラリア発のD2C家具/寝具ブランドKoala Sleep Japanは、YouTubeやTikTokなど複数のSNSでインフルエンサーによる商品レビューを実施しました。10,000%を超えるROASを達成するケースもあるなど、大きな成功をおさめています。
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9. D2C×SNSマーケティングはAnyMindにお任せください
AnyMindでは、EC/D2C事業者向けのマーケティング×フルフィルメントサービスをワンストップで提供しています。自社プロダクトと主要プロダクトを組み合わせて、データドリブンに戦略設計から実行までを行います。
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