D2Cブランド・EC事業を運営している方ならば、一度は物流システムの導入を検討したことがあるのではないでしょうか。
物流システムをうまく活用すれば、適正在庫を維持した状態での在庫管理が出来るようになりコスト削減に繋がったり、自動出荷機能を利用して物流業務を効率化することができます。しかし、種類や機能が多すぎてよく分からない、自社に必要な機能が分からない、という声をよく聞きます。
本記事では、物流の五(六)大機能ごとに、物流システムの基本的な種類から代表的な機能をご紹介します。
この記事でわかること
・物流システムの基本的な種類
・物流システムの代表的な機能
・物流システムを導入する際のポイント
こんな方におすすめ
・物流システムの基本についておさらいしたい方
・物流システム導入を検討している方
1. 物流システム とは?
物流システムとは、物流の六大機能である『輸送・配送機能』『保管機能』『荷役機能』『包装・梱包機能』『流通加工機能』『情報管理・処理機能』の、それぞれの業務を効率化するもの、もしくはその業務を包含する機能などによって最適化を図るためのシステムです。
2. 物流システムの種類
物流システムには大きく分けて『オンプレミス型』『カスタム型』『パッケージ型』『クラウド型』があります。以下に詳細とメリット、デメリットについて解説します。
2-1. オンプレミス型
社内にサーバーや通信回線、システムを構築し、自社で運用を行う形態です。
メリット
・自由なオーダーメイドを通して、自社に最適なシステム導入できる ・ソフトウェアを自社のみで管理することができる ・自社内で構築するため、外的要因に左右されることがほとんどない
デメリット
・システム開発までのヒアリングに時間がかかる ・初期費用が高く、運用までにも時間がかかる
2-2. カスタム型
必要なポイントに、必要なシステムだけを導入する形態です。
メリット
・オンプレミス型システムと比較してより低価格で導入できる ・セキュリティの強度や全体のコストを調節できる
デメリット
・クラウド型と比較すると、導入コストかかる ・導入までに時間や手間がかかる
2-3. パッケージ型
固定された、いくつかのプランからサービスを選択する形態です。
メリット
・手軽、且つ短期間で導入や運用開始を実現できる ・短期的または中長期的のみでの利用もできる ・業務を業界の標準に合わせることができる
デメリット
・システムを利用できる媒体、管理者数、システム内の機能が限られている ・運用にあたり、自社の既存の業務フローやシステムを変更する手間がかかる ・ベンダーからの定期的なバージョンアップにも対応しなければならない
2-4. クラウド型
インターネット上で提供されているサービスを利用する形態です。
メリット
・ネット環境さえあれば、場所を問わず利用できる ・自社専用システム構築の必要がなく、導入コスト・時間・手間を最低限に抑えることができる ・システム管理やエラーへの対応などを自社で行う手間、労働力を省き、他のコア業務に専念できる ・無料トライアルサービスを提供しているサービスも多く、導入前に自社とマッチするか、実体験を通して確認できる
デメリット
・システムのインフラを自社で独自に管理できない ・外的要因によって業務遂行の妨げとなり得ることもある ・オフラインでは利用することができない ・自社に合わせた自由なカスタマイズがしにくい
3. 物流の六大機能(五大機能 + 情報管理)
物流の六大機能とは、『輸送・配送機能』『保管機能』『荷役機能』『包装・梱包機能』『流通加工機能』の物流五大機能に、『情報管理・処理機能』を加えたものを指します。
・輸送・配送機能
・保管機能
・荷役機能
・包装・梱包機能
・流通加工機能
・情報管理・処理機能
3-1. 輸送・配送機能
長距離の移動を伴いながら商品を工場から物流センターまで運ぶ場合や、工場から別の工場へ物を運ぶことです。
3-2. 保管機能
ある一定の場所でモノを預かることを指し、品質や数量を明確に管理する事も含まれます。
3-3. 荷役機能
倉庫や物流センターでの積み下ろしから運搬、入出庫管理、仕分け、荷揃えまでと幅広い工程を含む工程のことです。
3-4. 包装・梱包機能
包装・梱包は、商品を箱に詰めたり、箱と商品の間の隙間を緩衝材で埋めたりする作業のことを指します。
商品輸送時の商品保護に加えて、一定のサイズで統一することにより利便性向上にも繋がり、またオリジナル梱包資材や同梱物カスタマイズなどにより商品の品質・価値の向上にも繋がります。
3-5. 流通加工機能
流通の過程で商品の価値を高めるために施す加工全般のことを指します。アパレルであればアイロンがけなど、その他にも小分け包装、値札付け、鉄鋼やガラスの裁断、検品なども流通加工に含まれます。
流通加工が施されることによって商品の付加価値を高め、商品を手にした顧客の満足度を向上させることに繋がります。
3-6. 情報管理・処理機能
物流が展開されていく過程で発生するさまざまな情報を正確に把握・管理し、活用できる状態にする機能です。輸送業務や倉庫業務では、作業の生産性向上や進捗管理のために、さまざまな情報管理機能を搭載したシステムが活用されています。
4. 各工程に関連する物流システムとは
物流の各工程における、各工程に関連する物流システムについてご紹介します。
・倉庫管理システム(WMS: Warehouse Management System)
・在庫管理システム(Inventory Management System)
・配送管理システム(TMS: Transportaion Management System)
・受注管理システム(OMS: Order Management System)
4-1. 倉庫管理システム(WMS: Warehouse Management System)
倉庫管理システムとは、荷物が倉庫に入庫されてから、保管して出庫するまでの倉庫内のすべてのプロセスを管理するシステムです。
入庫時のピッキング効率化から、保管時のロケーション管理や入出庫に伴う在庫の変動や納品書の作成なども含みます。
4-2. 在庫管理システム(Inventory Management System)
在庫管理システムとは、オフラインでリアルに存在する商品の在庫数をオンライン上で正確に管理するためのシステムです。在庫数が過不足なく正確に計測できるように倉庫管理システムの入出庫と連携して在庫の増減を管理するのが一般的で、入出庫数に抜け漏れがないようにハンディターミナルなどハードウェアと接続できるものも増えてきています。
また、定期棚卸時に在庫の修正を行うことができるものも多いです。
在庫管理システムについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
在庫管理システムとは?11の機能一覧から導入メリット、6つの選定ポイントまでご紹介
Oct 28, 2021
4-3. 配送管理システム(TMS: Transportation Management System)
配送管理システムとは、倉庫などから出荷された荷物が目的地に届けられるまでのすべてのプロセスを管理するシステムです。
配車・配送計画・進捗管理・積付・運賃計算・それらに伴う請求書発行などの業務を含みます。
4-4. 受注管理システム(OMS: Order Management System)
受注管理システムとは、注文者からの注文内容をまとめて取込んで確認業務を容易にし、注文された商品の出荷のために出荷データを出力するなど、注文・受注管理業務のすべてのプロセスを管理するシステムです。
ECの場合、各ECカート・ECモールから受注情報をまとめて取り込み、住所間違いなどの確認業務を容易にし、各受注に対して商品引当てを行い、倉庫に対する出庫指示のための出庫指示書の作成および出荷指示の自動化などを行うシステムを指します。
OMSについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
EC運営で抑えるべきOMS(オーダーマネジメントシステム)の重要性からメリット、選定ポイントまでご紹介
Oct 19, 2021
5. 物流システムを導入するメリット
物流システムを導入することで得られるメリットをご紹介します。
・業務の効率化
・業務の可視化
・コスト削減
・サービスの品質向上
5-1. 業務の効率化
システム全般に言えることですが、システム導入によりフォーマットが統一化されることにより、属人化を防ぎ共通言語を用いて各業務内容を管理できることで、業務を効率化することに繋がります。また、システムを活用すれば同じ業務を自動化することもできるため、うまくワークフローに組み込むことが出来れば大幅な業務効率化を行うことができます。
配車管理業務を例に出すと、物流システムが利用される前までは事業プランナーと呼ばれる担当者が、独自のノウハウを駆使して配車計画をたて、人材を確保し、ルートを選定し、物流計画を作成して指示してきました。
5-2. 業務の可視化
統一化されたフォーマットで情報が蓄積することにより、同じ粒度で対象物を管理することができるため、マクロ・ミクロ視点からも簡単に業務を可視化することができるようになります。
5-3. コスト削減
物流システムの導入により、システム費用以上にコスト削減を行うことが可能です。WMS(倉庫管理システム)を導入し、入出荷情報や在庫情報をオンラインでリアルタイムで管理することで、在庫回転率の最適化、業務オペレーションにかかる人件費の削減、欠品防止による売上逸失の回避などでコストの削減が期待できます。
5-4. サービスの品質向上
物流システムを導入することによる業務効率化・人的ミス削減により、サービス全体の品質向上にも繋がります。物流管理だけではなく、仕入からお届けまでのサプライチェーン全体を最適化してサービスの品質を底上げすることにも活用できます。
6. 物流システムを導入するデメリット
物流システム導入によるデメリットを2つご紹介します。
・システム利用料の発生
・ワークフロー修正工数の発生
6-1. システム利用料の発生
当たり前ですが、物流システム導入によりシステムの利用料が発生します。
利用料は大きく分けて「固定費」「変動費」の2つがあります。物流倉庫を例に挙げると、
・固定費は、生産や販売の量に関わらず一定にかかる経費のことで、システムの月額利用料、業務管理料などが含まれます。
・変動費は、販売個数や売上などに比例して増減する経費のことで、入庫料、検品料、出荷・ピッキング料、梱包料、配送料などが含まれます。
6-2. ワークフロー修正工数の発生
今までアナログで管理していたワークフローの一部を物流システムで置き換えるため、ワークフローの修正に工数が発生します。
導入初期は工数が発生しますが、導入後の運用期間も含めると工数は減る、もしくはそれ以上にリターンが出るようにシステムを導入するはずなので、導入前後のワークフローを漏れなく洗い出して少しでもスムーズに導入が進むように根気強く進めていきましょう。
7. 自社に最適な物流システム導入で業務を効率化しよう!
物流工程ごとに物流システムの用途はことなり、使用者もことなります。自社に必要な物流システムがわかったら、そのシステムでできることを調査し、競合の導入事例などを元に自社に必要な機能を洗い出していきましょう。
AnyMindでは、D2Cブランド・EC事業者の物流管理業務の効率化ために無料相談を行っています。
どんな機能を活用すればいいのか、自社と同じカテゴリ・規模のブランドはどんな機能を活用しているのかなど、気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
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