適正在庫を知ることは、在庫管理をする上で必要不可欠です。 この記事では基礎知識だけでなく、実例を挙げ、ご紹介します。
1. 適正在庫とは?
適正在庫とは、欠品せずかつ過剰在庫にならない適正な在庫数のことを指します。
2. 適正在庫を算出する目的
適正在庫を算出する目的は、適正在庫を保つことによって、 ・余剰在庫という無駄の削減 ・欠品による販売機会損失の防止 が出来るからです。
余剰在庫を確保してしまうと、保管するコストが無駄になってしまったり、管理作業が滞る可能性があります。
反対に、在庫数を最低限のものに抑えてしまうと、販売できる在庫がなくなってしまい販売の機会損失に繋がる可能性があります。 D2Cブランドは、ある商品がインフルエンサーによって急遽話題になり在庫が不足するなど、予想外の欠品もよく起こります。
そのため、適正在庫を保つことは、企業にとって非常に重要です。
3. 適正在庫を求める前に押さえるポイント
適正在庫とは、欠品せずかつ過剰在庫にならない適正な在庫数のことを指します。適正在庫の基本的な考え方は『安全在庫+サイクル在庫』です。
安全在庫、サイクル在庫について以下に説明します。
3-1. 適正在庫・安全在庫・サイクル在庫の違い
安全在庫とは、需要等の変動があっても欠品にならない最低限の在庫量のことです。
一方サイクル在庫とは、在庫の発注から次の発注までに消費される在庫量の半分のことです。
たとえば、毎月1日に発注するのであれば、約15日間に消費される在庫量がサイクル在庫となります。
3-2. 在庫回転期間
「在庫回転期間」とは、商品が入荷してから出荷するまでにかかる期間のことを指します。
例えば、棚卸資産が2,000万円で、年間売上高が1,000万円の場合、在庫が入れ替わるまでに2年を要したことになります。
3-3. 在庫回転率
「在庫回転率」とは、一定期間内に在庫がはける回数を表し、在庫が何回入れ替わっているかをチェックするための指標です。
例えば、平均在庫高1,000万円で年間売上高が3,000万円の場合、在庫は年に3回ほど入れ替わったことになります。
3-4. 交叉比率
在庫が儲かっているかどうか(在庫の投資効率)を見る指標のことを指します。在庫管理では適正在庫を把握するために使われています。以下の計算式で求められます。
交叉比率=在庫回転率×粗利益率*
*粗利益率とは、売上高に対する売上総利益(=粗利益)の割合のことであり、「売上総利益率」や「粗利率」とも呼ばれる収益性分析の指標を指します。 単位は%で表され、「売上総利益 ÷ 売上高 × 100」もしくは「(売上高 - 売上原価) ÷ 売上高 × 100」の計算式で算出されます。
在庫回転率が5、粗利益率が20%のときは100となりますが、在庫回転率が4、粗利益率が25%であっても交叉比率は100となります。
4. 二種類の適正在庫の計算方法
適正在庫の計算方法は、実務的観点からボトムアップ式に適正在庫数を算出する方法と、経営的観点からトップダウン式に適正在庫を決定する方法があります。
4-1. 実務観点での適正在庫の算出方法
実務的観点では、お客様あるいは後工程を待たせないだけの在庫量をキープすること考え、以下のフローで算出します。
①会社のリードタイムを調べる ②標準的な要求納期を調べる ③標準的な適正在庫を調べる(安全在庫を含まない) ④変動を調べる ⑤変動分を安全在庫として持つ
■計算例
①会社のリードタイム 1年間当たり2500万円 ②標準的な要求納期3000万円 ③標準的な適正在庫 ② – ① =500万円 ④変動 ±500万円 ⑤安全在庫 500万円4-2. 経営観点での適正在庫の算出方法
経営観点ではから見た適正在庫は、在庫の回転率を踏まえて考えます。以下のフローの元算出します。
①目標とする在庫金額(運転資金)を決める ②在庫回転率の式に①を当てはめて目標の在庫回転率を求める ③現在の在庫回転日数を目標値に近づけるために改善する■計算例
①目標とする在庫金額(運転資金)を1,000万円とする。 ②年間売上高が3,000万円の場合、在庫は年に3回ほど入れ替わったことになる。 (※3-3引用) ③現在の在庫回転日数を目標値に近づけるために改善する。5. 適正在庫維持のポイント
・在庫充填方法 ・在庫を減らす ・生産・製造リードタイムの短縮 ・需要予測の精度向上 ・定期的な見直し ・”自社に最適な”在庫管理システムの導入
6. まとめ
適正在庫とは、欠品せずかつ過剰在庫にならない適正な在庫数のことを指します。
適正在庫を算出する目的は、適正在庫を保つことによって、 『欠品による販売機会の損失を抑える』『余剰在庫の無駄を削減できる』ことが出来るからです。
適正在庫の基本的な考え方は『安全在庫+サイクル在庫』です。
『安全在庫+サイクル在庫』を実務観点、経営観点双方から検討する必要があります。
こちらの記事では、算出した適正在庫をどのように維持すれば良いかご紹介しています。
在庫管理で適正在庫を維持するには?在庫コントロールから定期的な見直し方法までご紹介
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