ECサイトを運営する際、自社で蓄積した顧客データをどのようにマーケティングで活用すれば良いのか悩むことがあるでしょう。
そんな悩みを解決するのが、顧客行動の分析データを活用し、顧客体験・満足度の向上に繋げられるグロースマーケティングです。
グロースマーケティングは、DX時代の効率的な顧客獲得方法としても注目を集めています。
この記事では、グロースマーケティングの概要や顧客獲得に活かす方法などを詳しく解説していきます。
この記事でわかること
・グロースマーケティングの需要が高まった背景
・グロースマーケティングとグロースハックの違い
・グロースマーケティングで成果を上げるポイント
こんな方におすすめ
・ECの顧客体験や満足度を向上させたい
・自社で蓄積した顧客データをマーケティングに活かしたい
・グロースマーケティングの成功事例を知りたい
1. DX時代で注目されるグロースマーケティングとは
グロースマーケティング(Growth Marketing)は、自社で蓄積した顧客データを活用し、顧客との関係性を強化する施策によってエンゲージメントを構築することで、事業・サービスの成長に繋げるという考え方です。
簡単にいえば、「長期にわたって利益を出し続けるマーケティング」のことで、企業・事業・製品・サービスの持続的成長を目指す活動を指します。
グロースマーケティングで重要になるのは、顧客行動を深く理解し、ファンを獲得していくことです。
DX時代においては、最新デジタル技術の活用化が進んだことで、より詳細な顧客のデータ行動分析が行われるようになりました。
競合他社とのビジネス競争に勝つためにも、グロースマーケティングの理解を深めることは重要です。
2. グロースマーケティングの需要が高まった背景
グロースマーケティングの需要が高まった大きな要因とされるのが、顧客行動の多様化と複雑化です。
さらに、データ解析技術が進歩したことや、デジタルによって限界利益率が可視化できるようになったことも需要を高めた要因となっています。
1-1. 顧客行動の多様化と複雑化
顧客行動は、生活環境や生活様式の変化に合わせて多様化、複雑化します。
例えば、コロナ禍によって、実店舗ではなくECで商品を購入する顧客が増えました。ECサイトやECアプリでは、実店舗とは異なる顧客行動が見られるため、データ解析・分析を基にしたマーケティング施策を打つ必要があります。
実店舗をはじめ、EC、SNSなどの複数チャネルで購買できるようになった今、従来のマーケティングでは通用しなくなってきたと感じる人も多いのではないでしょうか。
1-2. データ解析技術の進歩
インターネットを通じて商品を購入する消費者の増加に伴い、データ解析技術も進歩しています。
例えば、AI・GPS・IoTなどの技術はこの数年で急激に進歩し、これまで難しかったオフラインでの顧客行動データの分析・活用が実現できるようになりました。
進歩した顧客行動のデータ分析によって、新たな顧客ニーズを発見できるようになったことが、グロースマーケティングの需要を高める要因となったのです。
1-3. デジタルによる限界利益率の可視化
長期的に利益を上げていくためには、「限界利益率」が特に重要となります。
限界利益率とは、売上に対して限界利益が占める割合のことです。
近年のデジタル技術の進歩により、限界利益率は簡単に可視化できるようになりました。
例えば、自社で設定した限界利益率とマーケティング施策を組み合わせて、効果測定することも可能です。
特に広告運用に関しては、配信前にターゲットROAS(目標広告費用対効果)が分かるため、運用方針も立てやすくなっています。
3. グロースマーケティングとグロースハックの違い
グロースマーケティングとよく比較される言葉が、グロースハックです。
グロースハックは、グロースマーケティングにおける一つの手法のことで、プロダクト自体にフォーカスして持続的成長を目指す活動のことを指します。
グロースハックでは、従来の「広告で製品を訴求する」スタイルではなく、「顧客を理解して、製品が自走する」という考え方をします。
もっと簡単に説明すると、「自社商品・サービスは、顧客に対して好意的なものであるか」という効果測定・改善・実験を繰り返すマーケティング手法のことです。
グロースマーケティングを成功させるためには、グロースハックも欠かせない施策となります。
4. グロースマーケティングの3大要素を解説
グロースマーケティングは、顧客データを把握しながら収益向上を目指す活動です。
自社ビジネスに活かすためには、以下の3大要素を理解しておく必要があります。
①顧客行動の理解を深める
②データを活用して的確な指標設計をする
②OODA(ウーダ)で高速に施策を繰り返す
では、具体的にどのようなアクションを起こせばいいのかを解説していきましょう。
4-1. 顧客行動の理解を深める
多様化・複雑化する顧客行動の理解を深めるためには、ダブルファネルを使って課題を洗い出すことから始まります。
ダブルファネルの上段を見ると、購入に近づくにつれて顧客数が減少しています。しかし、購買した顧客がファン化することで、リピートや新たな顧客の増加に繋がるのです。
自社の課題を洗い出す方法ですが、ダブルファネルの各行動(各段落)で停滞している顧客数をそれぞれ当てはめていきます。この時、明らかに顧客数の足りない行動があれば、その領域が現状の一番の課題(ボトルネック)となります。
課題が見つかった後は、以下のようなアクションを起こすことで購入からリピート、新規顧客獲得に繋げることが可能です。
・複数チャネルを使ったプロモーションで認知度向上を狙う
・顧客ニーズに寄り添った商品・サービスの改善を行う
・購入前の離脱を防止できるシステム・機能の最適化を行う
・チャットコマースやメルマガなどでリピーターを獲得する
・顧客行動を十分に理解した上で、根拠に基づいたアクションを起こしましょう。
4-2. データを活用して的確な指標設計をする
グロースマーケティングでは、顧客体験・満足度に重点を置いた指標設計が大事になります。
従来のビジネスでは、売上・受注数・販売数などにKGI・KPI設定を行うケースがよく見られました。
しかし、サブスクリプションやECが普及した今、他社サービスへ簡単に乗り換えできるようになっています。そのため、顧客の目線に立った指標設計こそが長期的な利益を狙うために重要になるのです。
これまで蓄積してきた顧客データを活用し、顧客体験・満足度を向上させる施策を練りましょう。
4-3. OODA(ウーダ)で高速に施策を繰り返す
OODAとは、アメリカで生まれたビジネスメソッドのことで、以下の言葉の頭文字を取った「意思決定」に関する考え方のことです。
・Observe(観察)
・Orient(情勢判断)
・Decide(意思決定する)
・Act(実行する)
インターネットが普及した今、顧客行動は瞬時にどんどん変化していきます。
顧客を観察して現状を把握し、行動データの分析結果に基づいて瞬時にアクションを起こすことがOODAの本質です。
マーケティング施策の実行、効果測定、改善を高速で繰り返すOODAループが、グロースマーケティングの成功の鍵を握っています。
5. グロースマーケティングで成果を上げるポイント
グロースマーケティングは、顧客のさまざまなデータを活用した施策を実施し、顧客体験・満足度の向上に繋げることが大きな目的となります。
そのため、施策検証の高速化や獲得した顧客のリテンション、ITツールを活用したデータ管理の効率化などで成果を上げていきましょう。
5-1. データの一元管理で施策の検証を高速化する
自社に蓄積された顧客データを有効活用し、マーケティング施策の検証を高速化しましょう。
例えば、顧客セグメントに応じてグループ分けをしておくことで、マーケティング施策を実施する際のターゲティングを速やかに行うことが可能です。
OODAループによってどんどん顧客行動データが蓄積されていくため、施策の精度も徐々に高まっていきます。
グロースマーケティングにおける成果とは、顧客体験・満足度の向上であるため、施策の目標設定がブレないように注意しましょう。
5-2. 顧客獲得後のリテンションを大事にする
ダブルファネルで確認したように、新規顧客獲得よりも、獲得後のリテンションに注力することが多くのファン獲得に繋がります。
例えば、自社商品を購入した顧客に対し、LINEでお得な商品情報を紹介したり、メルマガでクーポンを配信したりする施策は効果的です。
ただし、過剰な接触は逆効果となるため、「どのタイミングで接するべきか」「今どのようなサービスを必要としているのか」を顧客観点に取り入れたアクションを起こしましょう。
5-3. ツールで顧客データを一元管理する
実店舗とECを併用して利用する顧客が増えたことで、オフラインとオンラインの垣根がなくなってきているのが現状です。
そこで重要となるのが、複数の販売チャネルで管理している顧客データを、ITツールやプラットフォームで一元管理することです。
顧客データの一元管理によって、顧客行動のクロス分析が可能となり、より効果的なマーケティング施策を打てるようになります。
また、管理業務の効率化や機会損失の削減に繋がるため、自社ECの規模を拡大したい場合にもおすすめの対策です。
【関連記事】
ECサイト一元管理システムとは?3社を比較&失敗しない選び方のポイント
6. グロースマーケティングの活用事例を紹介
グロースマーケティングは、大手企業や法人でも積極的に採用されたことで注目を集めています。
特に顧客行動をリアルタイムに把握すべき事業や、パーソナライズな施策を必要とする事業などで重宝されています。
具体的な活用事例を紹介していきますので、事業にどのような変化をもたらすのか気になる方は参考にしてみてください。
6-1. 株式会社メルカリ
無料で使えるネットフリーマーケットアプリ「メルカリ」は、以下の2つの施策でグロースハックを成功させました。
・クーポン施策の最適化
・UI/UX改善による検索機能の充実化
まずは、顧客のセグメンテーションによって「クーポン無しでも商品を購入していた顧客」を区別。さらにAI学習機能で「クーポンが無くとも将来的に商品を購入する顧客」を予測することで、クーポン施策を最適化したのです。
UI/UX改善では、アプリをダウンロードした後に検索行動が誘発されない課題を解決。検索UIのテストを繰り返し、検索フォームに記載すべき言葉や写真の使用枚数などを改善したことで「検索させるUI」の実装に成功しています。
メルカリでは、マーケティングチーム・プロダクト・サービス開発チームの連携強化と目標の共有などが、グロースハックを実現させる要因だと話しています。
6-2. Dropbox
クラウドストレージでファイルを管理・共有できるサービス「Dropbox」は、以下の3つの施策でグロースハックを成功させています。
・登録のシンプル化(紹介でストレージ容量アップ)
・ノークレカトライアル
・解約の簡易化
まず、登録に至るまでのUI/UXを最適化し、さらに紹介にするストレージ容量アップなどのサービスを提供することで、利便性や満足度を向上させました。
ノークレカトライアルとは、クレジットカードの登録なしで、まずは無償で登録させるという施策です。1年間のトライアル期間を設けて実験を行い、結果的にクレジットカードを登録させない選択肢が選ばれています。
解約の簡易化は、解約が複雑なほどユーザーの満足度が低下し、さらにサポート窓口の業務が増えることもあって決断された施策です。
メルカリやDropboxのように、常にユーザーファーストで考えることがグロースマーケティングの成功に繋がる要因となるでしょう。
7. AnyMindがグロース戦略を手厚くバックアップします!
グロースマーケティングは、顧客データを活用した施策でエンゲージメントを構築し、長期的な利益を生み出していく活動です。
顧客行動の多様化やデータ解析技術の進歩などによって、グロースマーケティングの需要が高まっており、大手企業・法人でも積極的に採用されています。
グロースマーケティングは、自社で蓄積した顧客データを分析し、顧客行動の理解を深めることから始まります。そして、顧客体験・満足度の向上を目標に設定し、施策の効果測定と改善を繰り返すことで成果が現れていくでしょう。
顧客データの分析や運用、グロースマーケティングの施策でお悩みの方は、グロース戦略を徹底サポートできる「AnyMind Group」にお任せください。
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