AnyMind Groupは、全社的な「AI-Native Company」への進化を進めています。これは単にAIを導入するのではなく、あらゆる業務・組織構造・働き方を“AIを前提に”再設計するという挑戦です。その中で、私たちが注目しているのが「Vibe(バイブ)」という概念です。
今回は、これまでの「AIを使って業務を効率化する」という発想から一歩進んだ、業務スタイルをテーマに、AnyMindの実践例を交えながらご紹介します。
1. Vibe Codingを起点に広がるAIとの共創型ワークスタイル
近年、AIとの対話を通じて直感的かつ創造的にコードを書く新しい開発スタイル「Vibe Coding(バイブコーディング)」が、注目を集めつつあります。「Vibe」は、英語で「雰囲気」や「感覚」を意味する言葉です。
これは、従来のように仕様書に従って一行一行コードを書くのではなく、開発者がAIに自然言語で「こんな体験を実現したい」「こういう見た目にしたい」と伝えることで、AIがコードのたたき台を生成し、それに人間がフィードバックを返すという、共創的な開発手法です。AnyMindでは、このVibe Codingのアプローチをいち早く取り入れ、AIと人が対話しながら開発を進める「ラリー型のプロダクト開発」を実践しています。さらに私たちは、この「Vibe」というアプローチを開発領域だけにとどめず、データ分析や資料作成など他の業務領域にも応用し、AIとの共創による新しいアプローチを広げています。

2.Vibe Coding:AIとの共創によるプロダクト開発
従来のように、AIで「分からないことを調べる」「依頼した数行のみコーディングしてもらう」といった限定的な使い方をするのではなく、あらかじめ開発環境上に必要な前提情報──会社やビジネスの背景、プロダクトの仕様や制約、設計思想、コーディング規約などの文脈情報(コンテキスト)を整理します。そのうえで「こういう機能が実装したい」と、AIに伝えると、AIがそれらを踏まえてコード出力。開発者はそのたたき台をもとに、レビューやフィードバック、細部の調整を行う──という“ラリー型”の開発サイクルが確立されています。
これにより、AIは単なる支援ツールではなく、「ゼロイチで実装を担う開発パートナー」として機能するようになります。
実際に、私たちの開発チームでは、AnyLiveやAnyAIの新機能開発においてこのアプローチを導入しています。通常であれば数週間を要する初期開発が、AIとの共創によって数日で完了したケースもあり、開発スピードと品質の両立が現実のものとなっています。
さらに、AnyMindの強みであるアジア各国の多様性はVibe Codingにも活きています。日本、タイ、ベトナムなど各国の開発者がそれぞれの母語でAIと対話し、言語の壁を越えてアイデアをすばやく形にできる、グローバルな開発体制を構築しています。
3. Vibe Analyzing:AIとの対話で進める、直感的なデータ分析
このVibe的なアプローチは、開発業務にとどまりません。データ分析においても、AIと自然言語ベースで対話しながら直感的に分析を進めていく「Vibe Analyzing」が社内で広がっています。
たとえば「先週のSNS広告の反応は?」「売上が伸びた地域はどこ?」といった問いをAIに投げかけると、社内外の複数データを横断的に取得し、示唆に富んだグラフや考察を返してくれます。特に、AnyTagやAnyXなど自社プロダクトに蓄積された詳細かつ多様なデータを参照できることは、AnyMindならではの大きな優位性です。こうした保有データと外部データを組み合わせることで、より精度が高く、実践的なインサイトが導き出せます。
さらに、従来であればBIツールを立ち上げ、データを抽出・加工・可視化といった複数工程を経て数時間かかっていた分析が、数分単位で直感的に繰り返せるようになりました。データそのものの整備や加工に時間を割く必要がなくなったことで、分析者は仮説の構築や施策の立案といった本質的な価値創出に専念できるようになっています。
Vibe Analyzingでは「何を聞くべきか」「得られた結果をどう読み解き、次の行動にどうつなげるか」という人間の課題発見力や洞察力が一層重要になります。AnyMindでは、メンバーが業界知識や経験をもとに、AIに対して追加の質問を重ねたり、別の視点から分析を促したりといった「コンテキスト化スキル」を日々磨いています。
AnyXやAnyTagなどの自社プロダクトにも、チャットベースでAIに質問し、データを可視化・分析できる機能を搭載。クライアント企業に対してもVibe Analyzingの体験と価値を提供しています。専門知識がなくても「気になることをそのまま聞けば、プロダクトが答えてくれる」という直感的な操作体験が、ビジネスの意思決定を加速させています。
4 Vibe Reporting:AIが生み出す“たたき台”と人の編集力
レポートや提案資料の作成においても、Vibe的なアプローチは力を発揮します。たとえば「このキャンペーンの結果をまとめて」「経営層向けに要約して」など、AIに自然言語で指示を出すだけで、指標の抽出、グラフの生成、初稿の執筆までをAIが自動で行います。
担当者は、その“たたき台”をもとにクライアントの事業背景や市場環境を踏まえて内容を補完し、ストーリーを整えます。AIが気の利いたたたき台を用意し、専門人材が仕上げる──この役割分担による共創が、資料作成におけるスピードと質の両立を可能にしています。
Vibe Reportingの真価は、AnyMindが保有する独自のアセットに支えられています。インフルエンサーマーケティング、D2C、広告、物流といった多領域にわたる事業では、AnyTag、AnyX、AnyDigital、AnyLogiといった自社開発のプロダクトを活用しており、そこから得られる豊富なデータと知見がAIレポート生成の質を高めています。
実際にある提案書では、蓄積された各国の消費動向やインフルエンサートレンドのデータをAIが参照し、対象カテゴリに即した市場インサイトを抽出。通常であれば数週間かかるリサーチ工程を短時間で完了させ、これに各専門領域のコンサルタントが精査・補足し、戦略の裏付けを行うことで、「アジア15市場の横断分析に基づく戦略提案」というアウトプットを生み出しました。
さらに、英語・タイ語・日本語などの多言語への展開もAIがサポートします。構成や要点は共通に保ちながら、それぞれの言語に合わせてニュアンスを調整することで、ローカルメンバーによる最終確認を経て、高品質な多言語ドキュメントをスピーディーに作成する体制も整えています。
このように、Vibe Codingを起点に始まったAIとの共創スタイルは、分析や資料作成といった周辺業務へと広がり、社内全体に浸透しつつあります。
5.AnyMindならではの強みと、Vibeスタイルの親和性
AnyMindは、世界15の国と地域、24拠点で展開し、SNSマーケティング、EC支援、広告運用、物流など、幅広い領域で事業を展開しています。これらの事業には、AnyTag、AnyDigital、AnyX、AnyLogiといった自社開発のプロダクトが連携しており、各領域から得られる独自データが豊富に蓄積されています。
この多様な事業 × 自社プロダクト × 膨大なデータというエコシステムが、AIとのVibeな共創を加速させる土壌となっています。
たとえば、
・各国・各プロダクトのデータをAIが横断的に分析
・多言語での自然なAI対話による国境を越えた開発環境
・プロダクト間を横断した施策立案やレポーティングが、チャットベースのやりとりで完結
など、グローバルかつマルチプロダクトで展開する当社だからこそ実現できる”AIとのVibeな共創”が、日々の業務に根付いています。
さらに、こうした社内実践で培った仕組みは、自社プロダクトにも実装しています。AnyTagやAnyXなどに、チャットUIを介して自然言語で操作・分析・意思決定ができる「AI対話機能」を搭載。クライアント企業においてもAIとの共創体験を実践できる環境を提供しています。
6. 業務効率化ではなく「体験の変革」へ
AIとのVibeによる共創は、単なる自動化や効率化にとどまりません。人の創造性を解放し、組織の空気感を変える新しい業務体験のかたちです。
認知的なストレスを減らし、アウトプットの質を高め、仕事を「楽しめるもの」へと再定義していく──それこそが、私たちが目指すAI-Nativeな未来の姿です。
今後もAnyMindは、社内外の知見を集約し、自社プロダクトを通じて、クライアント企業におけるAI活用と業務変革を力強く支援してまいります。
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