クリエイターが自身の価値観をもとにブランドを立ち上げ、ファンへ直接届ける取り組みが広がっています。EC・マーケティング領域のテクノロジーカンパニーであるAnyMind Groupの中でも、日本のCreator D2C事業部では、クリエイターと伴走し、商品の企画から生産、EC展開、物流までを一気通貫で支援しています。
今回は、市場で長く愛されるブランドを育てるために、どのような取り組みを行い、どのような考え方を持っているのかについて、AnyMind Japan Creator D2C事業部長のTateさんにお話を伺いました。
取材者プロフィール
Yusuke Tate
AnyMind Japan Creator D2C事業部 部長
ブランドと事業が持続的に成長し続ける状態を目指す
事業部として現在注力しているテーマを教えてください。
「年間10億円規模のブランドを3つ育てること」です。入社当時の印象としては、グッズやコラボ商品の中心の展開が多く、クリエイターの世界観や価値観を長期的に育てる余地がさらにあると感じました。
そこで、よりブランドとしてのポテンシャルを引き出せるよう、これまで以上にクリエイターと二人三脚でブランド価値を高める取り組みに重点を置きました。商品へのこだわりやファンへの提供価値を中心に据えることで、長期的に愛されるブランド基盤の構築を目指すことにしました。

1ブランドあたりの月間平均売上は、2023年と比較して30%以上の成長
方針を変えて取り組んだことを教えてください。
2023年当時は、新規ブランドの数を増やすことでビジネスチャンスの拡大と運営ノウハウの検証を行っていました。その過程で得た事業経験やデータ分析の知見を踏まえ、現在は一過性のブランドではなく、日本のファンはもちろん、グローバル市場で競争力を持つブランドにより集中して運営しています。
現在では、1ブランドあたりの月間平均売上は2023年と比較して30%以上の成長を実現しています。特に顕著なのは、「Jent Louis」、「VI E DIT」、そして「ORGUE」です。それぞれ独自の世界観と商品力を強みに、マーケットを広げています。
海外展開を前提としたブランド戦略
ブランドの成長基盤が整いつつある中で、AnyMindだからこそ提供できる独自の価値や強みはどんなところにあると思いますか?
AnyMindの独自の価値は、クリエイターやブランドの構想段階から、商品企画・販売戦略・実行までを一気通貫で支援できる点にあります。
単なる支援にとどまらず、ブランドの成長プロセスに伴走できる体制を構築しています。
その価値を支える強みは大きく2点あります。
1点目は、EC販売とマーケティングの実行力を備えたチームが揃っていることです。こだわった商品やブランド体験として確実に市場へ届けるノウハウと実働できる体制があります。
2点目は、海外展開を前提としたブランド成長を見据えた支援ができることです。年間10億円規模の成長を目指す上で、日本市場のみでは限界があります。ブランドと親和性が高い海外市場を選定し、現地でファン獲得まで推進できるのは、AnyMindの大きな特徴です。
購入時の不安をその場で解消
EC・マーケティング領域では、SNS投稿に加えてライブコマースも注目されています。AnyMindで実施する上での狙いと、その成果をどのように捉えていますか?
AnyMindでは、全ブランドでライブコマースを実施しています。日本ではInstagramやTikTokを活用し、最近では中国で人気のソーシャルコマースプラットフォーム「RED(小紅書)」でも配信を行っています。
ライブコマースを実施する最大の理由は、購入時の不安をその場で解消できることです。購入検討時に生まれる「サイズ」「素材」「着用感」といった疑問に、クリエイター自身がリアルタイムで答えることで、安心感が生まれ、購買転換の後押しにつながっています。
また、配信を通じて商品理解が深まることで、購入率の向上だけでなく、ファンとの関係が深まり、リピートにも結びついています。

ギフト需要が増加
最近取り組んでいるオンライン施策についても教えてください。
最近の新しい取り組みとして、AnyReach社のeギフトサービス「AnyGift」を導入しました。アパレルのプレゼントは、相手のサイズやカラーの好みが分からないと、なかなか選びづらかったりします。その点、eギフトなら、プレゼントされた側が自分で商品を選べるので、カジュアルに贈りやすくなると思っています。実際に、ポップアップストアでも「ギフトで使いたい」と来店されるお客様が増えており、ギフト需要の高まりを感じています。
未来の商品づくりにつながるマーケティング
オフライン施策としてのポップアップストアでは、どのような狙いがありますか?
ポップアップストアは、ファンと直接つながる場であると同時に、「未来の商品づくりにつながるマーケティング」として重要だと考えています。実際、想定していたターゲット層と実際の来店層の違いから新たな発見が生まれたり、顧客のスタイリング傾向から商品企画の方向性が見えたりと、オンラインでの販売だけでは得られない情報がたくさんあります。
こうしたリアルな気づきは、ブランドの成長に欠かせない重要なインプットになっています。
Jent Louisを目掛けて真っ黒な大行列ができる
最近の主要ブランドのポップアップでは、どのような成果や手応えがありましたか?
2025年11〜12月には、全ブランドで19回のポップアップを実施しましたが、ブランドごとに異なる特徴的な反応がありました。
8月にローンチしたばかりの「TAJEN:T」では、想定以上にファッション感度の高いお客様が来店し、狙いとするブランド方向性が市場に届き始めている手応えがありました。

また、「Jent Louis」は、想定しているペルソナ通りの顧客が来店していました。
ファン層は10〜20代の男性が中心で、黒を基調としたコーディネートの長い行列が象徴的です。直近の大阪でのポップアップでは、ブランドディレクターであるKotaが不在の時でも行列が続き、Instagramで「開催してほしい場所」を募り、ファンの声を反映した企画が成功につながりました。さらに、ブランドの世界観と相性の良い市場として、韓国でのポップアップ開催も決定しています。

「Jent Louis」のファンは、大きく2つの層に分かれると考えています。
- ファッション感度の高い層
- これからおしゃれを楽しみたい層
この2つの層が良いバランスで混在していることが、ブランドの特徴です。特に後者の層にとっては、黒という取り入れやすいカラーが購買ハードルを下げ、新しい一歩を踏み出しやすくしている点もプラスに働いていると感じています。

「Jent Louis」ポップアップストアでの様子
一見シンプルに見えるかもしれませんが、Kotaは学生時代からブランドづくりに挑戦し、成功と失敗を積み重ねながら、ファンと共にブランドを育ててきました。その地道な積み重ねが、今の行列につながっていると思います。
ファンが本当に求めていることを商品企画に生かす
オンライン施策とオフライン施策で取得したデータを、どのようにブランド戦略へ反映していますか?
さまざまなデータがありますが、その中で商品企画に関しては、LINEを活用したアンケートを実施することが多いです。年齢層・居住地・職業といった基本情報に加え、普段購入しているブランドや利用しているECモール、参考にしているメディア、希望する価格帯、ブランドへの要望まで幅広くアンケートをとっています。
「キッズラインが欲しい」「もっとカジュアルなアイテムが欲しい」「アクセサリーを増やしてほしい」「◯◯とのコラボを見たい」
といった具体的な声や、ポップアップの所感まで、1回で100件以上の回答が集まることもあります。
ファンからのリアルな声をデータにまとめ、商品企画やエリア展開を判断しています。クリエイターの作りたい世界観と、ファンが本当に求めている価値の距離を縮めるための重要なインプットになっています。
各ブランドに共通する成功要因と、海外展開における今後の展望を教えてください。
どのブランドにも共通しているのは、以下の2点です。
- IP売りではなく、持続的に成長するブランド
- Day1から海外を前提にグローバルブランドとして育てること
どのブランドも立ち上げから数年以内ですが、すでに海外での動きが始まっています。
Jent Louis:韓国市場との親和性の高さから、ソウルにてポップアップストアを開催
ORGUE:在日中国人インフルエンサーを活用し、RED(小紅書)を通じて中華圏に向けた情報発信を強化
VI E DIT:ローンチから1年でニューヨークコレクションに参加。アジア展開も視野に存在感を拡大

「VI E DIT」ニューヨーク・ファッションウィークでの様子
それぞれアプローチは異なりますが、海外展開を前提としたブランド育成が共通点です。この動きが成果として現れ始めており、ブランドにとってもAnyMindにとっても非常に良い流れだと捉えています。
今回は、クリエイターと共に持続的に成長するブランドを育てるための取り組みや、その背景にある考え方を伺いました。AnyMindでは今後も、クリエイターの想いや世界観を実現しながら、国内外で長く愛されるブランドづくりを支援していきます。
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