アプリ運営における「開発」と「マネタイズ」の両立は、多くの運営者にとって永遠の課題です。今回は、iPhone向け付箋アプリ「Sticky Note」を運営する山下氏に、フォーエムを「広告運用チーム」として迎え入れたことで起きた、事業構造の変化についてお話を伺いました。
ハイライト
- 課題:広告運用への関心・リソース不足による、収益化プロセスの停滞
- 施策:フォーエムへの運用一任と、データに基づいた起動時広告の導入
- 効果:総収益が2倍以上に向上。広告が課金ユーザー増加を後押しする好循環を創出
Profile
山下 将太 | iOS Engineer / App Business Operator
ウェブエンジニアを経て、*iPhone3GSとの出会いを機にiOS開発の世界へ。これまで個人・受託を合わせ100以上のアプリを世に送り出す。NewsPicksでのリードエンジニア経験を経て、現在は自社アプリの事業運営に注力。
2020年、iOS 14で新設された「ウィジェット機能」を活用し、ホーム画面に常時表示できる付箋アプリ「Sticky Note」をリリース。累計150万ダウンロードを記録し、多数のメディアで話題となる。UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザー体験)設計からASO(アプリストア最適化)、広告マネタイズ、マーケティングまで、一気通貫したプロダクト開発を得意とする。2023年からはフォーエムとの提携により広告収益を2倍以上に成長させるなど、エンジニアリングとビジネスの両面で活動中。
以前は広告マネタイズに対し、どのような課題感をお持ちでしたか?
正直なところ、当時は「課題」としてすら認識できていなかったかもしれません。エンジニアとしてアプリを作ること自体が楽しく、マネタイズに関しては「とりあえずAdMob(Googleが提供するアプリ向けの広告配信プラットフォーム)を貼っておけばいい」という程度の知識でした。
メディエーション(複数の広告配信サービスを一元管理し、収益を最大化する仕組み)を組めば収益が上がるという話は耳にしていましたが、実装や調整にかかる工数を考えると、なかなか踏み出せずにいました。自分がプロダクト開発に熱中していた分、広告運用を最適化するという発想自体が抜け落ちていました。
数あるパートナーの中から、フォーエムを採用いただいた決め手を教えてください。
一番の理由は、Googleの認定パートナー(GCPP:Google Certified Publishing Partner)だったことです。これは非常に大きな信頼の指標になりました。また、お話をいただいた際に、具体的な改善数値のシミュレーションを提示してもらえたことも、論理的に納得できる材料でした。
さまざまな代理店がある中で、客観的な実績とデータに基づいた提案があったからこそ、「一度お任せしてみよう」と決断できました。
実際にフォーエムと協働を開始して、実務面での変化はありましたか?
広告運用という領域を、自分の仕事から完全に「切り離せた」ことが最大の価値です。私自身はプロダクト開発に集中したいので、その領域を専門家であるフォーエムさんにすべてお任せできる。この安心感は代えがたいですね。
心理的な負担が減ったことで、自分はよりよいアプリを作るための開発に100%専念できるようになりました。フォーエムさんは「外部の業者」というより、私のチームの「広告運用部門」が拡張されたような感覚で頼りにしています。
起動時広告の導入では、収益が2倍以上になったと伺いました。
はい。最初は「ユーザー体験を損ねて、離脱につながるのではないか」とかなり懸念していました。何度もフォーエムの担当者と議論しましたし、一時は導入をやめようかと考えた時期もありました。
しかし、単に広告枠を増やすのではなく、ユーザー体験(UX)を損なわない配置の提案や、詳細なデータ分析に基づいた単価調整など、フォーエムが二人三脚で伴奏してくれた結果、広告収益を2倍以上に成長させることに成功しました。
また、面白い副作用もありました。広告が出ることで「広告を消したい」というユーザーのニーズが顕在化し、結果として課金ユーザー(有料プラン移行)の割合が増えたんです。これは嬉しい誤算でした。
今後、フォーエムと共に挑戦したい「次のステップ」を教えてください。
今はアドネットワーク(複数の広告媒体を束ねて広告を配信する仕組み)を通じた収益がメインですが、今後はそれだけに依存しない形を作っていきたいです。例えば、自社アプリ同士のクロスプロモーション(自社の別のアプリを相互に宣伝し合う手法)枠として活用したり、さらには特定の広告主様と直接お取引する「純広告」のようなメニューも視野に入れています。
自分一人では難しい領域ですが、フォーエムというパートナーがいれば、新しい収益軸を一緒に作っていけると期待しています。
*iPhoneは、米国およびその他の国で登録されたApple Inc.の商標です。