扶桑社は、常に先進性と話題性を追求した良質なコンテンツを出版しています。雑誌では、「週刊SPA!」「ESSE」「天然生活」「Numéro TOKYO」「MAMOR」などを発行している出版社です。「日刊SPA!」「ESSEonline」などの自社Webメディアの運営も行っています。これまで、Webメディアのマネタイズは、複数社に委託をしていたとのことでしたが、収益向上や媒体横断の施策に課題感を感じ、Web広告でのマネタイズを当社グループのフォーエムに一本化されました。フォーエムは「AnyManager」を活用した包括的なメディアグロース支援を実施し、プログラマティック広告の大幅な収益増だけでなく、純広告・タイアップ広告やSEOの領域などのサポートを行っています。今回、フォーエムを選んだ理由やメディアとしての幅広い取り組みについて伺いました。
・プログラマティック広告収益を伸ばしたい ・広告営業のレポート作成などの工数を削減したい
・AnyManagerを導入 ・セッションRPM(Revolution Per Minute)最大化のための最適化施策 ・タイアップレポートやブーストの作成、運用代行 ・テクニカルSEO施策の実施
・プログラマティック広告収益がAnyManager導入前と比較し2~3倍に向上 ・広告営業のリソース削減
取材者プロフィール
伊藤 愛尚
株式会社扶桑社 クリエイティブ推進局 デジタルメディア製作部 部長
ぴあ株式会社にてWebディレクターを務め、2007年扶桑社に入社。「SPA!」編集部にて「WebSPA!」のディレクターと「週刊SPA!」の編集を兼任。2011年「WebSPA!」を「日刊SPA!」にリニューアルしWeb事業の専任に。以降、「女子SPA!」、「ESSEonline」などの立ち上げ・運営に関わる。2018年以降は「天然生活web」、「Numero.jp」なども含めた扶桑社の全Web事業に携わっている。
支援開始前と比較して収益は3〜5倍、PV単価も2倍程度向上
どんなWebメディアを運営しているかを簡単にお聞かせください。
出版社なので、基本的に雑誌に付随する形でWebメディアを運営しています。具体的には、生活情報誌「ESSE」のWeb版「ESSEonline」、総合週刊誌「週刊SPA!」のWeb版「日刊SPA!」、その女性版の「女子SPA!」、ファッション誌「Numero TOKYO」のWeb版である「Numero.jp」 、ライフスタイル情報誌「天然生活」のWeb版「天然生活web」などをメインに運営しています。
フォーエムとの取り組みのきっかけを教えてください。
最初は、「ESSEonline」での取り組みがきっかけでした。「日刊SPA!」など他のメディアは元々、他の企業にプログラマティック広告の運用をお願いしていました。しかし、当時、「ESSEonline」だけは、自社で運用する体制でやっていたのですが、実際にやってみると難しく、運用をアウトソースしようと思っていました。また、当時は色々なパートナーから知見が欲しかったことから、実績があり、これまで付き合いがないパートナーを探していました。その時、フォーエムから提案をもらい、「ESSEonline」のコンサルをお願いしました。
その後、「ESSEonline」での成果や包括的な支援に魅力を感じ、「日刊SPA!」でもコンサルをお願いすることにしました。24年4月からは「女子SPA!」もお願いすることになっています。今ではプログラマティック広告で収益化しているメディアは、全てフォーエムに任せています。広告収益といったデータは、AnyManagerで一括で管理しています。
現在の取り組み内容やここまでのお取り組みの変遷を教えてください。
当初は、プログラマティック広告の売上改善のコンサルをお願いしていました。
AnyManagerを導入し、基本的な広告枠単位の分析から、サイト全体の分析と改善、広告枠数や位置の最適化などに至るまで、さまざまな施策を実施したことで売上がかなり伸びました。特に売上の大きい「ESSEonline」や「日刊SPA!」はフォーエム支援開始前と比較して収益は3〜5倍、PV単価も2倍程度向上しました。プログラマティック広告の施策をある程度やり切った後、次の段階として、プログラマティック広告領域以外のメディアとしての課題解決や、新しい取り組みを展開することを度々議論しました。
フォーエムの担当者とはかなり密にコミュニケーションを取っていたので、その中で色々なことを相談するようになりました。
正直、当初のフォーエムはプログラマティック広告に特化しているイメージでした。ダメ元で相談をしたところ、「できません」で終わるのではなく、フォーエム社内の知見を共有していただいたり、専門チームを立ち上げてくれたりと、徐々に課題が解決され、取り組みの領域が広がりました。
【プログラマティック広告領域以外で取り組んだ内容】
- テクニカルSEOコンサルティングによるPV向上支援
- 純広告・タイアップ広告領域の支援
- バナー純広告メニューの作成、改善
- バナー純広告の配信管理、レポーティング
- タイアップ広告の提出レポート代行
- タイアップブーストの見積もり、運用代行
- 純広告セールスの代行
- GA4、LookerStudio、GTMの活用支援
- Piano(DMPツール)の活用支援
このように取り組みを広げていく中で、フォーエムのイメージが大きく変わっていきました。現在社内では、Web領域、広告領域に関することはとりあえずフォーエムに相談をしてみようとなっています
実際に取り組みを始めてからの成果やパフォーマンスはどうでしたか?
プログラマティック広告の収益面については、特に主要媒体である「ESSEonline」と「日刊SPA!」の成果は素晴らしかったです。フォーエムに切り替えてから年間収益は、3倍ほど向上しました。特に2023年は市況感が悪いと言われる中で、昨年比で2倍近くの収益増を両媒体で実現できました。編集部の努力によるものが大きいのは前提ですが、フォーエムが入ったことによって更なるブレイクスルーを実現しました。
▼「ESSEonline」年間プログラマティック広告収益推移(過去3年)
▼「日刊SPA!」年間プログラマティック広告収益推移(過去3年)
収益以外でもフォーエムが入ったことによる変化はありましたか?
フォーエムと取り組んでから編集部内では、新しい施策に対して積極的にチャレンジしようというマインドに変わっていきました。
これまでは新しい広告施策についてあまり許容できていませんでした。我々の心持ちもありますが、Web上の広告はユーザーからみて邪魔と捉える人も多いと思います。メディアとしてもユーザーから悪い印象を持たれたくないので、そこをかなり気にしていました。そうした状況の中で、フォーエムの担当者は成果が出ると思った施策については、粘り強く何度も提案してくれました。コミュニケーション量もかなり多かったので、こちらの温度感や状況も汲み取って提案してくれました。実際に施策に取り組む際もとりあえずテスト的に始めてみて、ユーザビリティや収益性がよくなければすぐに止めましょう、という形で媒体目線でフラットに対応してくれました。施策実施後は、担当者から週単位で数値を根拠とした報告が共有され、その後数字に基づいて継続可否の意思決定ができました。多くの施策を提案いただき、検討中の案件がたまっても、優先順位をつけて対応していただきました。
一つ一つ施策を実施して成果が出ていく中で、社内でも提案いただく施策について、前向きに捉えるようになってきました。最近だと提案の際にある程度こちらの状況を汲み取って条件を整えてもらえるので、スピード感を持って進めることができています。
過去にお願いしていたプログラマティック広告運用の委託企業からしてみれば、自分たちが担当していた時はやらないって言っていた施策なのに…と思われているかもしれません。(笑)
「日刊SPA!」は他社からフォーエムに切り替えていただきましたが、なぜ切り替えようという判断になったのでしょうか?
フォーエムからのアプローチが強かったことが大きいです。(笑)
真面目な話、以前支援いただいた企業と長年取り組んできた中でももちろん成果は出ていましたが、収益をさらに伸ばさないといけない局面をむかえ、何か変えないといけないと考えていました。その中でフォーエムは「ESSEonline」で結果を出していましたし、Googleの認定パートナーということも決め手でした。
当初は複数社のパートナーを入れる方針から最終的にフォーエムに一本化しようと思った背景はなんでしょうか?
当初は、広告に関する知見もあまりなかったので、とりあえず色々なパートナーと付き合って情報や知見をためていく方針でした。しかし、フォーエムとの取り組みが広がっていく中で収益が上がるだけでなく、プログラマティック広告領域以外の話もできるというのが弊社にとっては大きかったです。付き合うパートナーを一社に絞って全体を包括的にみてもらった方が良いと感じるようになりました。データを活用した広告販売や媒体横断での施策もやりやすいと思います。
プログラマティック領域以外のフォーエムとの取り組みについても詳しく教えてください。
純広告やタイアップの領域では、バナー純広告のメニュー作成やレポーティング、タイアップ広告のレポート作成代行とタイアップブーストの広告運用をお願いしています。
特にタイアップ領域のサポートについては社内の営業リソースの観点でとてもよかったです。これまでは、広告営業のメンバーが全て自分でレポート作成やタイアップブーストの出稿もやっていましたが、さらに売り上げを伸ばそうと思うとリソース的に余裕はない状況でした。ただ、フォーエムがレポーティングやブーストなどを請け負ってくれたおかげで、次のステップに進めそうです。
また、自社だけでやっているとどうしても気づかないことがありますが、フォーエムが相談にのってくれることで、販売する広告フォーマットやレポートの改善、検証などが進みます。信頼できる相談相手がいることは大きいですね。
密にコミュニケーションを取れるところが一番良い
他社と比べてフォーエムの良い点を改めてお伺いさせてください。
担当者と密にコミュニケーションを取れるところが一番良いところだと感じています。コミュニケーションの中でこちらが少し無茶な要望をしても、向き合ってそれに合わせて柔軟に対応してくれます。媒体ごとの事情を細かく把握してくれて、お互いに共通認識を持った状態で施策を実施できたためとてもやりやすかったです。
また、長い期間一緒に取り組みをしている中でお互いが成長できたという実感もあります。各々、専門のスキルがあるのが前提の話ではありますが、 一緒に新しいチャレンジや取り組みをして行く中で、できる領域や知見、気づきが増えていきました。それが双方の成長に繋がったのかなと思います。
こうした経緯から、できるできないは別としてもフォーエムに一旦何でも相談してみようという流れができました。
また、相談しやすい関係値があるのもそうですが、フォーエム社内の体制がメディアの課題に幅広く対応できる体制になっていると感じたことも大きかったです。
今後のWeb領域での展望を教えてください。
クッキーレス時代を迎えて、プログラマティック広告が市場全体で下がる可能性がある中でどう乗り越えていくかだと思います。
まだまだ不透明な部分が多いですが、プログラマティック広告以外のところでデータ活用や有料会員ユーザー獲得など、新しい収益軸となりそうなものを模索しています。
また、現状進めている取り組みから派生して何か生まれる可能性もあると考えています。フォーエムに意見をもらいながら一緒に実施していきたいですね。
フォーエムと今後取り組んでいきたいことや期待していることはありますか?
目先で見るとデータ活用による広告販売や記事を単品で売るマイクロペイメントなどの取り組みを一緒にできたらと思います。
フォーエムと引き続き密にやり取りをして、新しい取り組みを見出していけることを期待しています。
■株式会社扶桑社が運営するメディアについて
- 日刊SPA!
週刊誌「週刊SPA!」編集部が運営するビジネスマンの“ホンネ”がわかるニュース&エンターテイメント情報サイト
https://nikkan-spa.jp/
週刊誌「週刊SPA!」編集部が運営する“ちゃっかり生きる、賢いアラサー、アラフォー女性のリアルに迫る情報サイト
https://joshi-spa.jp/
生活情報誌「ESSE」編集部が運営する「家事・子育て・仕事」を両立させたい女性に役立つ生活情報ニュースサイト
https://esse-online.jp/
フランスのファッション雑誌「Numero」の日本版「Numero TOKYO」編集部が運営するファッションを中心とした情報サイト。アート、ビューティー、デザインや建築など幅広いカテゴリーやその時代に注目すべき、著名人や文化人などもとりあげる
https://numero.jp/
自分らしく、暮らしを楽しむためのライフスタイル情報誌「天然生活」編集部が運営する生活情報サイト。衣・食・住をはじめとした生活に関わる様々な情報を発信している
https://tennenseikatsu.jp/
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