十河宏輔は「D2C」「クリエイターサポート/マネジメント」「インフルエンサーマーケティング」「デジタルマーケティング事業」などの事業を展開するAnyMind Groupの共同創業者兼CEOです。
2016年4月以来、AnyMind Groupは急激な成長を遂げており、現在、アジア13の国と地域に17拠点を展開し、750人以上の従業員が働いています。 また、AnyMind Groupは日本においてはGROVEとFourM、そしてAcqua Media(香港)とMoindy(タイ)を子会社化。そして2020年3月にはモバイル広告プラットフォームPOKKT Mobile Adsを完全子会社化しました。
また当社はPR会社サニーサイドアップとのJVであるAnyUpを設立したほか、タイのVGI社とVGI AnyMind Technologyを設立しました。
海外でもメンバーからもフランクに「Sogo」(日本では十河さん)と呼ばれるCEOの十河宏輔に、起業の経緯や事業戦略、今後の展望などをインタビューしました。
それでは早速ですが、お伺いしていきたいと思います。 十河さんのこれまでの人生について教えてください。 子供の頃から、起業家であった祖父母に刺激を受けて、自然に自分でも起業したいと思っていました。親族間の集まりでも、よくビジネスの話や、起業家としての心構えについて話を聞いていた覚えがあります。
昔から彼らの話を聞くと、とてもワクワクしました。 幼心に 「大人になって自分のビジネスを展開した時には、祖父母のように社会にインパクトを与えるんだ!」と思っていました。祖父母はいつでもリーダーとして周りのメンバーを導いていて、今もそこは見習うべきポイントであり、AnyMindにおいても実践しているポイントですね。
そんな少年時代からの経験もあり、私はインターンや新卒の時代にも、常に目標へのコミットは徹底してきました。 いつも何か物事を始める時には、必ずはじめに入念な調査を行い、常に最良の決定をすることにこだわっています。 そして、その頃からずっと目標・結果に対するコミットの姿勢は変わっていません。 だからこそ、僕は当時新しいマーケットとして急成長していたデジタルマーケティング業界でキャリアをスタートさせることに決めました。
新卒時代に入社した企業でも、僕は2年以内に社内トップセールスになることを目標に設定していて、毎日100件以上の新規営業の電話をかけてましたね。 そうやって、営業にフルコミットを続けていたんですが、入社から2年後、僕は東南アジアでの海外事業をに挑戦する機会を得ることができました。 東南アジアではまさに「ゼロ」からのスタートでした。
東南アジアではベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポールの6つの拠点を担当しました。現地事務所の開設、社員の採用、セールスマーケティングなど、すべてを担当していました。それから今でも、自分で現場至上主義なスタイルは変わっていないなと思いますね。
その時にインドネシア、ベトナム、タイなど東南アジアがこれから来るな!という感覚を強く持ちました。そして、東南アジアで起業をしようと決意したのも、その経験があったからですね。
現在も多くの多国籍企業がシンガポールに本社を設立しています。人口や市場自体はさほど大きくありませんが、シンガポールでの起業はアジアでの事業展開をはじめるにあたってはオススメですね。
そして、僕が29歳のときに、当時31歳であった小堤(現在はCCO)と共にAnyMind Groupを起業しました。
AnyMind Groupを操業してから4年以上が経ちましたが、AnyMindはどのように発展してきましたか?またこれまでの期間を通してどんな学びがあったか教えてください。 私たちのビジネスはインターネット広告事業(AdAsia)の分野から始まり、そこからインフルエンサーと広告主のマッチング(CastingAsia)へと拡大しました。その後、HRソフトウェア(TalentMind)事業、現在はD2Cビジネス(AnyMind D2C)にも事業展開しています。
インターネット広告事業においてはWeb広告、モバイルアプリ、DOOH広告もカバーしています。また広告主だけでなく媒体社・アプリ事業者向けの収益最大化事業も展開しています。
そして、次に立ち上げたのがエンターテインメントテック(インフルエンサー関連)事業です。この領域はまだまだ伸びていくと思っていますね。この事業では大きく分けてインフルエンサーマーケティングプラットフォーム事業と、MCN事業の2つのビジネスモデルを展開しています。アジアのインフルエンサーやクリエイターにはまだまだ未開拓の可能性がたくさんあると思っていますね。
それから、D2Cについては改めて説明しますが、インフルエンサーやクリエイターとの掛け合わせで大きな可能性が広がっていると考えています。
また今年から本格展開しているのが、クラウドものづくりプラットフォームであるAnyFactoryです。東南アジアの200以上の工場と連携しており、世界中の個人や企業に向けてものづくり(D2C)支援が可能になっています。企画・生産・販売・マーケティングまで全てをワンストップでサポートすることができます。
これらの事業や4年という期間を通して学んだことの1つは、常にオープンなコミュニケーションが非常に重要であるということです。 全員が同じ方向に向かって走るということは本当に大切なことで仕事へのモチベーションにも大きく影響します。ポジティブなタイミングにおいては、積極的なコミュニケーションを通して、目標達成に向けた行動をチームで行うことができますし、ハードな局面でも、積極的なコミュニケーションにより、メンバー間の状況理解を促すことで最悪の事態を回避することができます。
仕事のキャリアを成功に導くことに重要なことは何だと思いますか? 僕は情報の収集だと思っています。 自分の担当領域以外のニュースや情報に対してアンテナを張るだけでなく、最新の海外市場の状況についても学ぶ。これは、世界の流れを把握し、ネクストアクションを決断するために非常に重要だと思っています。
例えば、日本とアメリカにおけるD2Cビジネスの伸びは非常に急激です。 基本的にはアジアのどの地域でもその国の中間業者を使って、制作や販売を行うのがベースですが、AnyFactoryのプラットフォームを使えば、よりリーズナブルなコストで理想に近い形のブランド展開を行うことが可能です。これが、アジアで200以上の工場と契約を結んだ理由の1つであり、世界の潮流を鑑みた中でベストな選択と事業展開を行ったと自負しています。
それからAnyMindにはメンバーからリーダー陣まで優秀なメンバーが集まっていて、各地で成果にコミットし続けてくれています。
ボードメンバーを考えて見ても、M&AによりAnyMindに参画してくれた企業の創業者またはそれぞれの分野のプロフェッショナルによって構成されています。例えば、直近で子会社化したPOKKTの共同創業者兼CEOは現在、AnyMind GroupのCOOを務めており、POKKTの共同創業者兼COOは現在、インドおよび中東のマネージングディレクターとして活躍してくれています。
適材適所でリーダーをアサインすることは、他の部署やビジネスラインにも影響を与えるため、会社の成長にとって非常に重要です。 リーダーは一人ですべての仕事を遂行することはできません。 ですから、私はここまで一緒に走ってくれているAnyMindの全メンバーに感謝しています。
AnyMind Groupと十河さんの今後の展望を教えてください。 まず、5Gの展開により世界は大きく変わります。 5Gの開始により、オンラインとオフラインはさらに近づきます。インターネットに接続されるデバイスが増え、多くのオフライン広告がオンラインに接続できるようになります。たとえば、ビルボード広告はデジタル化され、次々にOOHはインターネットに繋がっていきます。
そして、企業だけでなく”個人”影響はさらに強くなっていきます。広告媒体としてのインフルエンサー活用から、彼ら自身のブランドを持てるようになります。これが、D2Cビジネスを展開し始めた理由の一つです。
現在、東南アジアには依然として大きなビジネスチャンスがあり、まだまだ急速な発展を続けています。 現在のコロナウイルスが経済発展を阻害していることは間違いありませんが、これらの市場は今後も成長を続けると思います。
インドと中東も急速に拡大している2つの市場であり、POKKTとの連携によりこれらのマーケットでもさらなる成長を実現できると確信しています。
AnyMindはこれからもビジネスを世界をもっとボーダレスにしていきます。