左:マテリアルグループCEO青崎曹 氏、右:GROVE株式会社 CEO 兼 AnyMind Japan北島 惇起
「Life is like a coffee」とは
エンタメ業界のキーマンをゲストに、GROVE CEO兼AnyMind Japan 取締役の北島が、その事業やゲストを深掘りしていく対談インタビュー企画、「Life is like a coffee」。 北島が最近コーヒーにハマったことがきっかけで「人生はコーヒーのようなものだ」と感じたことから名付けられたこのコーナーでは、お招きするゲストにとっての「Life is like ・・・. 〜人生は・・・のようなものだ〜」の答えに迫り、その人生観についても覗いていきます。 記念すべき第1回目のゲストは、ストーリーテリングの力でブランドとステークホルダーの関係構築を行い、ビジネスの成長を支援するPRマーケティングカンパニー、マテリアルグループ株式会社CEO 青﨑 曹(あおさき そう)さんにお越しいただきました! 青崎さんは、北島の高校時代からの同級生。今でも親睦の深い2人が、「PR」と「IP」をテーマに語っていきます。
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タイトル :【マテリアル×GROVE CEO対談】IP x PRー新世代のコンテンツの届け方とは URL :https://www.youtube.com/watch?v=GWNO9itjy6w
- プロフィール
- 「ブランドに関わるすべての人を幸せにする」マテリアルグループのPRとCX
- 「IP」とそれに触れる人たちの関係値をデザインする「PR」の力
- 「一億総メディア時代」ーーー誰もがメディアになることのできる新時代に求められる「PR」とは
- 炎上・誹謗中傷ーーーSNSを活用する際に直面するリスクを回避するには
- 「MAKE NEW .」その空白に込められたマテリアルグループの想いとビジョン
- ずっと心の中に残り続けるエンターテイメントーーーそれをIPという形で世界中に届けたい
- 青崎氏にとっての「Life is like a ・・・.」
プロフィール
GROVE株式会社 CEO 兼 AnyMind Japan株式会社
北島 惇起
日本大学出身。2010年4月に株式会社テクノブラッドへ入社し、PCゲームの販路拡大及びイベントプロモーション業務に従事。2012年10月に株式会社ワタナベエンターテインメントとタレントマネジメント契約を結び、お笑い芸人として活動。2014年4月に3rdkind 株式会社に入社し、サービス・アプリ事業部の責任者として従事。2015年9月にGROVE株式会社へ入社し、2016年8月に同社取締役就任、2017年9月に同社代表取締役社長就任。また現在はAnyMind Japan株式会社の取締役も兼任している。
マテリアルグループ株式会社 代表取締役社長
青崎 曹
2011年、創業間もない社員数名の株式会社マテリアルに入社。主要アカウントのプロモーションからPRまで多岐に渡る領域を担当し、マテリアルの急成長を牽引。2019年にマテリアルグループ/マテリアルの代表取締役社長に就任。代表就任後は旧来のPRエージェンシーの枠に囚われない新しいグループのビジネスモデル・組織の開発に尽力。
「ブランドに関わるすべての人を幸せにする」マテリアルグループのPRとCX
北島: 「Life is like a coffee」記念すべき第1回目のゲストは、僕の高校・大学の同級生でもあるマテリアルグループ株式会社代表青崎さんにお越しいただきました! インタビュー撮影のため、マテリアルグループの新オフィスにお邪魔していますが、とても広いオフィスですね。
青崎: ありがとうございます。 元々のオフィスの貸し面積と同じ面積のオフィスを同じビル内で借りて、倍の面積に増床していて、新オフィスでは2021年7月から業務を開始しています。 このコロナ禍でオフィスの面積をいきなり倍にするのはなかなかの勝負でしたが、こだわりの内装に仕上げられましたし、従業員一同快適に過ごせています。
北島: マテリアルグループは数々のブランドと社会を結びつけるために、「PR」という位置付けで多くの新しい取り組みをされてきた印象があるんだけど、まずはマテリアルグループがどんなことをされている会社か、そして青崎さん個人のご紹介を聞いてもいいですか?
青崎: マテリアルグループは、「ブランドに関わるすべての人を幸せにする」をミッションに掲げ、PRとCXを基軸にお客様のブランドの成長を支援する事業グループです。 PRにおいては、企業やプロダクト価値の向上を目的としたマーケティングコミュニケーションを提供しています。ありふれた既存のアプローチだけではなく、新しい取り組みとしてこれまでになかった広告手法を提供したり、それぞれのブランドや企業にとって最適なソリューションを生み出し提案しています。 CX(顧客体験)においては、ECサイトに訪問したユーザーのデータをもとに、適切な情報訴求を行うことができるWEB接客ツールを開発した「フリップデスク社」をグループ内に構え、CXを向上させることで、購買や会員登録の促進などを支援するマーケティング事業を行っています。 EコマースやD2C事業が日本国内においてさらに拡大していく今、この両輪をビジネスとして伸ばしていくことに注力しています。 僕個人の紹介でいうと、アパレルの販売を経験したのち、未経験でこの業界に飛び込みました。マテリアルグループに入った当時は、まだ社員が3人くらいで、今のように広いオフィスではなく、まさに「どベンチャー」。 淳起もそうだったと思うんだけど、そんな世界に右も左も分からない状態で飛び込んだところからスタートしたんだよね。 今でこそグループ連結で230人ほどの社員がいますが、周りの人に支えられたからこそ、ここまで会社を成長させることができましたし、今この立場でビジネスに関わらせてもらっていますね。
「IP」とそれに触れる人たちの関係値をデザインする「PR」の力
北島: 僕の中で、「マテリアルグループといえばPR」という印象を強く持っています。 対して僕はAnyMind内のGROVEという会社で、多くのクリエイターを抱えるインフルエンサープロダクション事業を行いながら、「クリエイターに対するIP(知的財産権)を作って、IPを育てて、IPを日本中・世界中に届けていきたい」という思いをとても強く持っています。 その観点で言うと、IPにとってPRは欠かせないもので、切っても切り離せない要素なのではないかなと思うんだけど、どうかな?
青崎: 確かにそうだよね、僕たちマテリアルグループは「MAKE NEW PR」というビジョンを掲げているんだよね。 PRというと、メディア露出を獲得することがゴールと考えたり、下手したら「プロモーション」の略と捉えている人が多いのかもしれません。正しい概念がまだ日本国内に浸透していないと考えていて、この概念自体を日頃からアップロードしていく力が僕たちにはあると思っていますね。 IPに関わるPRとして僕がしたいことは、「リレーションデザイン」、つまりIPとそれに触れる人たちの関係値をデザインすること。 それこそが僕たちが提供することのできるバリューだし、パブリシティや広告としての情報発信はもちろん、コンテンツを一緒に企画するところから関わることができるだろうし、さまざまな手法で貢献していける領域だと思います。 「こういうことをやってみたら面白いんじゃないか」、「こういう手法に挑戦すればもっと価値が上がるんじゃないか」と、僕たちの視点から最適なソリューションを提案できるレベルになっていきたいなと。 もしもGROVEさんが「IPを育てたい」となったときには、その横で一緒にそのゴールを目指していける良きパートナーになれる可能性もあるんじゃないかな。
「一億総メディア時代」ーーー誰もがメディアになることのできる新時代に求められる「PR」とは
北島: 僕自身様々なコンテンツを発信していく中で、ここ数年で受け取り手のモチベーションやエモーショナルな部分に変化を感じることがあったんだよね。 例えば、コロナウイルスの蔓延による環境の変化だったり、視聴デバイスやアプリケーションの変化とか、様々な要因が複雑に絡まって、受け取り手の感じ方が多様化してきたと思っているんだけど。PRの領域においてもここ数年で変化した実感ってある?
青崎: マーケットに大きな変化があったよね。 思い返してみると、少し前まではテレビが主な情報源だったけど、徐々に視聴者のテレビ離れが進んで、YouTubeが主要なメディアになってきている。 例えば企業にとって新聞紙の一面に取り上げられるのが非常に価値の高かった時代から、Yahoo!ニュースのトップに出ることがさらに価値の高い時代へと移り変わり、もはや最近ではInstagramやYouTube、TikTokなどのプラットフォームの影響力の方が大きくなりつつあると思うんだよね。 また、視聴者やメディアが多様化し、受け手のデータの変数が膨大化していく中、年齢や共通の趣味などのデータ、いわゆるデモグラフィックでユーザーを細分化して正しく分類することが難しい時代になってきた。 例えば、惇起と僕は、同じ高校を出て、同じ大学を出て、経営者という同じ立場で仕事をしているけど、週末の過ごし方や着る洋服のデザインなど、全ての趣味や趣向が全然違うよね。 従来のマーケティングの手法の1つであるペルソナみたいに、広告配信の設定を僕たちが共通する「年齢:30代」、「職業:経営者」で設定すると、僕たちのような趣味趣向が全く違う2人に同じ広告が配信されてしまうことになっちゃうよね。
北島: いや、間違いないね。僕たちそれぞれがクリックする広告の種類は絶対違うよね。
青崎: 今の時代は「一億総メディア時代」と呼ばれるほど、発信手段が複雑化・多様化してきている。 テレビ広告が中心で、限られた人だけが情報を発信できる環境だった世の中から、テクノロジーが進化したことにより、企業やブランドだけではなく、個人が発信することのできる場が生まれ、誰しもがメディアになる可能性を秘めた社会になったよね。 だからこそ僕たちは、その膨大な数の手段から取捨選択をし、企業やブランドにとって最適なアプローチ方法を提案する必要があると思っています。
炎上・誹謗中傷ーーーSNSを活用する際に直面するリスクを回避するには
北島: 昨今、企業やブランドが情報を発信する際に主に活用されているツールがSNSだと思うんだけど、企業やブランドによって、活用方法に違いはある?
青崎: 全く違うと思うよね。 どの企業やブランドもSNSの活用が重要だと捉えているのは共通しているけど、ユーザーに向けて一方的に情報発信をしている企業もあれば、情報発信だけではなく、ユーザーとの関係値を築くためにSNS上でコミュニケーションを図る企業もいて、企業やブランドのスタンスによって使い方は異なってきている。
北島: 企業やブランドのSNSの扱いにおいては、炎上を引き起こさないために、非常に慎重にならざるを得ない時代になってきているよね。
青崎: SNSという新しいプラットフォームが誕生したことで、どんな企業やブランドでも簡単にクライアントと直にやりとりをすることができる時代になった。でも、安易にコミュニケーションを持つ場ができたことで、逆に企業にとってマイナスな現象、つまり炎上などを引き起こしてしまう可能性もある。そういったリスクを回避するにはプロの知見が必要で、プロによるノウハウがあって初めてリスクマネジメントを徹底したSNS運用が成立する。 それから、情報発信に大きな効果をもたらす際にもプロのサポートが必要になってくる。例えば、SNS上のフォロワー数が多いインフルエンサーであるほど、比例して発信の効果が大きくなると思われがちだけど、その指針だけで選定したインフルエンサーに闇雲にブランドの発信・PRを任せても期待する効果は現れない。 AnyMindやGROVEのように世界中のSNSのデータを保有している企業やその領域に特化したプロの力を借りることで、情報発信において最大の効果を発揮することができると思っていますね。
「MAKE NEW .」その空白に込められたマテリアルグループの想いとビジョン
北島: 僕もSNS領域の事業に関わっている立場として、青崎さんのPRへの視点は僕にとっても新しい発見があり、とても勉強になりました。 最後に聞きたいんだけど、マテリアルグループとしてのこれからのPRの形や将来のビジョンについても気になっています。 ビジョンとして掲げている「MAKE NEW .(メイクニュードット)」、青崎さんにとって、この空白にはどんな言葉が入りますか?
青崎: 普段から行っている、僕とマテリアルの全スタッフとの1 on 1ミーティングで、一人一人に”「MAKE NEW .」あなたにとってここに入る言葉はなんだと思いますか?”と質問を投げかけたんだけど、みんなそれぞれ全く異なる回答だったんだよね。 でも僕はそれでいいと思っていて、みんなが足並みを揃えて同じ回答をする必要はなく、みんなに対して共通した終着点やゴールを見せる必要もないと思っています。
▲マテリアルグループが掲げているVALUE「MAKE NEW .」
メンバーそれぞれが思い描く「MAKE NEW .」を目指し、そのゴールをデザインしていけば良いと思うし、共通のゴールがないからこそPRが進化する可能性が無限大に広がっていくと考えています。 その自由な方針があるからこそ、みんなが先進的な発想を持って、魅力的な新しい取り組みを発案し実践して来れたのだと思います。 敢えて終着点を明確にせずに、けれど「PRを常に進化させよう」という共通のスタンスだけはみんなが明確に持っているところだね。
ずっと心の中に残り続けるエンターテイメントーーーそれをIPという形で世界中に届けたい
北島: 僕はGROVEという企業で「IPを作る」「IPを届ける」「IPを広げる」というミッションを掲げています。 これをやりたいと思った原点は、僕が幼少期から10代にかけて触れてきた「エンターテイメント」にある。 出会ったエンターテイメント全てが当時の人格形成や考え方に影響を与えたし、10代の頃に購入した大好きなアーティストのCDは今でも大切に持っている。 僕にとってのエンターテイメントの存在はめちゃくちゃ大きくて、当時受けた刺激や感性があるからこそ今の自分が形成されている。だからこそ、政治や経営よりも、「エンターテイメントに関わりたい」。その中でも「IPを作りたい」と決断したし、それがこの仕事をやる意義になっているんだよね。
青崎: なるほど・・・。それを聞いて、ちょっとGROVEに入りたくなったね(笑) 確かに自分の心に刻まれているのは、これまで触れてきたエンターテイメントだし、それが原点となって今の自分があるというのはとても納得感がある。 僕のミッションの視点から言うと、僕はその隣でその想いをしっかり届ける存在でありたいな、と思う。 いくら実際にはとても良い商品やものであっても、まずは人に届けていかないと人の心を動かすことはできない。 「届ける」つまり「発信する」という立場として、お互いの役割は全く異なるけれど、同じ目的を果たすために手を組める可能性は大いにあるな、と感じます。
北島: ただ届けるだけではなく、「正しく届けること」が重要だよね。 ある側面から見たときのものと、別側面から見たときのものが全く別のものに見えてしまうことはよくあるけれど、別側面のメッセージを受け取られてしまっても意味がない。 マテリアルグループさんのようなPR領域のプロの力があってこそ、こちらが見せたい側面を正しく届けることができるんじゃないかなと思います。
青崎氏にとっての「Life is like a ・・・.」
北島: 最後に、この企画名「Life is like a coffee」に擬えて、 「Life is like a ・・・. 〜人生は・・・のようなものだ〜」っていうのを聞きたいんだけど、青崎さんにとって、この空白に入る言葉はなんだと思いますか?
青崎: すごく考えたんだけど・・・、まだそこに入る言葉はないな、と思っている。 マテリアルグループのミッション「MAKE NEW .」と同じように、僕にとっては「Life is like a .」空白のままなんだよね。 惇起(北島)と高校の時に遊んでいた頃には、今お互いがこうなっていることなんて全く想像ができなかったように、人生は何が起こるかわからない。 だからこそ、そこに言葉を入れてゴールを固定するのではなく、あえて空白にして、常に新しいことを生み出し全力で挑戦し続ける。 そんな人生を送っていきたいなと思います。
▲最後に、マテリアルグループのバリュー、「MAKE NEW .」の前で